南国のトロピカルな雰囲気が漂うフロリダ州ジュピター。

「こんな遠いところまでわざわざ来てくれたんですか」。

よく日焼けした、屈託のない笑顔は、まったく変わっていませんでした。

プロ8年目を迎える加藤豪将内野手(25)が、今季はマイアミ・マーリンズでキャンプ初日を迎えました。昨季まで在籍したヤンキースからマイナーFAとなり、オフに移籍。「真っ先に話をくれたのがマイアミでした。自分にとってやりやすい環境で、しかも数字だけでない部分を評価してくれたので決めました」。

昨年までメジャーのオープン戦に出場した経験はありますが、いずれもマイナーキャンプからの「バックアップ要員」でした。それが、今回は招待選手として初のメジャーキャンプに参加しています。その待遇の違いは、トレーニング施設や食事、ミールマネーなどクラブハウス内だけではありません。マイナー選手は、ユニホームの背中に名前がなく、しかもクラス別に同じ背番号の選手も存在します。もちろん、今回の加藤は背中に「KATOH」と名前が入っています。

「初めて背中にラストネームが付いて、まだ何か変な気分です」。

加藤にとってマーリンズはもちろん新天地なのですが、なじみのある顔が多くそろっています。というのも、デレク・ジーター氏がオーナーになって以来、古巣ヤンキースのコーチやスタッフがこぞって移籍。加藤によると、14~15人の「元ヤンキース」が在籍しているそうです。「すごく環境が良くて、みんながウエルカムですごくやりやすい」と言ったのも、間違いなく本音でしょう。

しかも、今年はメジャー昇格のチャンスも現実味を帯びています。戦力の厚いヤンキースでは、多少成績が伸びたとしても、お呼びがかかる可能性が低かったことは否定できません。ところがマーリンズでは、23歳の成長株ディアスら若手の内野手が期待されていますが、打撃にムラがあったり、経験不足だったりと、レギュラー陣は流動的というのが現状です。加藤の場合、ロースター枠の関係もあり、開幕メジャーが実現しなかったとしても、開幕後の成績や故障者次第では、初昇格する可能性もありそうです。

「新しいチームで、新しいスタートなので楽しみです」と話していた加藤。オープン戦2試合目となる24日(日本時間25日)に、今季初安打を放ちました。このまま、攻守にわたって猛アピールを続けてほしいものです。【四竈衛】

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)

加藤豪将(2015年1月9日撮影)
加藤豪将(2015年1月9日撮影)