MLBと選手会が3日、2月中旬からの春季キャンプ、4月1日の開幕戦を予定通りに行うことを発表しました。ただ、あくまでも「現時点」での見通しであり、本当に実施されるかどうかは、不透明と言わざるを得ません。

というのも、米国では新型コロナウイルス感染拡大が、依然として爆発的に続いています。4日の時点で、新たな感染者がカリフォルニア州で1日4万人を超えたのをはじめ、キャンプ地のフロリダ州で1万人、全米では20万人を超えました。15球団のキャンプ施設があるアリゾナ州では、3日に過去最多を更新する1万7000人に達するなど、緊急事態宣言が発令される日本とは桁違いのペースで増加しています。

昨年12月頃からの第3波が起こって以来、オーナー陣からは、選手らにワクチンが行き渡らなければ、少なくとも5月まで開幕延期を求めるとの意見が出されていました。それでも、選手会は「発表された日程通りに準備することを、MLB機構が各球団に通達した」と、通常開催を前提にしています。確かに、現時点ではフロリダ、アリゾナの両州とも「入州」の規制は発令されておらず、法規上はキャンプを実施することは可能です。

ただ、現実的には決して楽観視できる状況ではありません。機構側と選手会との間では、昨季設定された健康と安全に関するガイドラインをベースに、2021年バージョンを作成する方向ですが、いずれにしても「密」を避け、少人数に限定してトレーニングを行うことになるはずです。グラウンド外での行動も制限される見込みで、オープン戦の開催方法も再検討する必要がありそうです。

今後、もし開幕延期となれば、昨年と同じように、オーナー側と選手会との折衝は、年俸配分問題で紛糾することが確実視されています。

米国内では、医療従事者から順にワクチンの供給が始まっていますが、感染拡大は収束する気配すら見えていません。

2021年も、メジャーのシーズンは波乱含みの1年になりそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)