依然として世界中でコロナ禍が終息しない中、MLBでは選手やスタッフのワクチン接種が順調に進んでいます。機構と選手会は、開幕前からワクチン接種を義務化しないものの、強く推奨しており、摂取率が85%を超えたチームに対して、健康・安全に関するガイドラインを緩和する方針を明かしています。

4月末の時点で、すでに全体の81%が接種。ヤンキース、ロッキーズ、カージナルス、タイガースの4球団は85%に達し、規制が緩和されています。このほか、5球団(未公表)が85%をクリアしており、ワクチンの効果が表れる2週間の期間を経て緩和される予定になっています。

接種率が85%を超えると、ダッグアウトやブルペン内でマスクを着用しなくてもOK。クラブハウス内でのミーティング、ビリヤード、カードゲームなどの遊技も許可され、飛行機やバスなどでも集団行動が可能になります。また、屋内での飲食、サウナやコンディショニングルームの利用も認められます。

接種が進んでいるのは、選手やスタッフだけではありません。マリナーズの本拠地Tモバイルパークでは、18歳以上の来場者を対象として球場内でワクチンの接種を開始しました。予約は不要で、試合開始2時間前から特設のセクションでスタート。9回終了までに160人が接種可能とされています。また、5月19日からはヤンキースタジアム、メッツの本拠地シティー・フィールドでも接種が可能となります。ヤンキースの場合、接種すると入場チケット1枚の引換券をプレゼントするサービスも予定しており、かなりの力の入れようです。

ドジャースタジアムなど複数の球場では、ワクチン接種者と未接種者の座席を区別して販売し始めました。接種者のエリアではソーシャルディスタンスを取る必要がなく、しかもチケット割引の特典付き。選手だけでなく、ファンに対しても、通常へ近づくための方策を推進しています。

レイズ筒香ら複数の選手が接種後に体調不良を訴えたように、不安な要素はありますが、接種率が高まれば感染拡大や重症化のリスクが軽減されることは確かです。

このまま行けば、公式戦終盤には、全米各地で満員のファンで埋まったスタジアムが見られるかもしれません。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)