メジャー2年目の筒香嘉智外野手(29)が、パイレーツのユニホーム姿でメジャーに戻って来ました。復帰戦となった16日のドジャース戦で、クローザーのケンリー・ジャンセンから二塁打を放ったのをはじめ、20日のカージナルス戦では代打で今季初アーチ。23日のダイヤモンドバックス戦では3号を放つなど、ようやく持ち前の長打力を発揮し始めました。

今季の筒香は、レイズの開幕戦に「1番一塁」でスタメン出場するなど、主軸として期待されていましたが、思うような結果が残せず、5月11日に戦力外通告を受け、その後、ドジャースへトレードで移籍。右ふくらはぎ痛もあり、マイナーで調整を続けていましたが、投手不足のチーム事情もあり、再昇格はかなわず、プレー機会を求めてパイレーツへの移籍が決まりました。

ドジャース傘下の3Aオクラホマシティーでは、43試合で10本塁打を放つなど、地道に調整を続けてきたことで、再びチャンスをつかんだわけですが、筒香自身は、淡々と抱負を口にしました。

「大きくは変えていません。いろいろな打席の中でのアプローチというのは変えましたけど、打撃は変えてません」。

昨季、メジャーへ移籍した当時から、筒香は自らの感覚へのこだわりを持ち続けていました。日本の投手よりモーションが早く、動く球が多い米国への対応について、細かい適応は必要でも「根幹は変わらない」と言い続けていました。裏を返せば、自分の感覚に確固たる自信を持っていたわけで、ほんのわずかな適応ができれば歯車がかみ合う、という確信があったようにも見えました。最初から順調に進むに越したことはありませんが、ある意味で筒香にとってマイナーでの調整は必要な期間だったのかもしれません。

「つらいという感覚はまったくなかったですし、結果を出せなかったのは僕自身。いい感覚で帰って来られたことで、非常にワクワクしています」。

まだ見慣れない、黒と黄色のパイレーツのユニホームに袖を通した筒香の表情は、どことなくスッキリとしていました。

「マイナーリーグを経験したことで、違ったものが僕の中でいろいろありますので、少しの楽しみ、もちろん緊張もありますが、その中で自分がどういうプレーができるのか、自分には期待しています」。

かつて、イチロー氏は「遠回りが1番の近道」と言いました。筒香のこの1年間が、「近道」であることを願うばかりです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)