エンゼルス大谷翔平投手(27)が今季最高峰のタイトル、ア・リーグMVPを受賞しました。史上19人目の満票選出という快挙で、日本選手では2001年のイチロー外野手(マリナーズ)が新人王と同時受賞して以来2人目で、投打の二刀流選手では初の栄誉に輝きました。今季は投手で9勝2敗、防御率3・18、156奪三振、打者ではリーグ3位の46本塁打、100打点、26盗塁をマーク。レッドソックス時代のベーブ・ルース以来、およそ100年いなかった本格的二刀流の成績が評価されました。

今回の受賞によって、二刀流のアドバンテージが分かってきました。もし来季も同じような成績を残せば、2年連続MVPもあり得るでしょう。

全米野球記者協会選出によるMVPの歴史を振り返ると、1931年に現行の記者投票制が始まって以降、2年連続MVPはア・リーグ7人、ナ・リーグ6人で計13人います。そのうち投手は44、45年とア・リーグで連続受賞したハル・ニューハウザー(タイガース)だけです。44年に29勝9敗、187奪三振で投手2冠、45年は25勝9敗、防御率1・81、212奪三振で投手3冠に輝きました。

ただし、当時は第2次世界大戦中で、多くの大リーガーが戦場へ駆り出されました。中にはジョー・ディマジオ外野手(ヤンキース)やテッド・ウイリアムズ外野手(レッドソックス)といった大スターも多数含まれており、もし彼らがプレーしていたら、連続受賞出来たかは分かりません。

大谷は15日に都内の日本記者クラブで行われた会見で、来年について「もっともっと高いレベルで数字も残ると思う」とコメント。さらに二刀流について「もっともっと高くいけると思っているので、まだまだ頑張りたい」と意欲的に話していました。

今世紀に入っての連続MVP受賞は、2001~04年までナ・リーグで4年連続のバリー・ボンズ外野手(ジャイアンツ)と、ア・リーグで12、13年のミゲル・カブレラ内野手(タイガース)の2人だけ。大谷は同会見で「来年もっともっと賞をいただけるように頑張って行きたい」とも語っており、通算最多本塁打王のボンズ、3冠王カブレラに続く偉業も期待したくなるほど、来季の活躍が早くも楽しみです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)