大リーグのトレード期限は2日(日本時間3日)に終了し、エンゼルス大谷翔平投手(28)が残留しました。一方、守護神イグレシアスら主力を次々に放出し、来季以降のプレーオフ進出を目指すことになりました。そんな中、フィル・ネビン監督代行(51)は大谷について、「今後しばらくは中5日で投げる。それが本人のしたいことだ」と明言。来季に向けて無理させない方針かと思いきや、終盤までフル回転起用に変わりはなさそうです。

それは、何を意味するのでしょうか? 最大の理由は、規定投球回の到達にあると思います。投打二刀流は負荷が大きく、大谷の登板機会は中6日を空けて先発するローテーションが基本です。今季は4~7月まで17先発で計99回1/3。1試合平均で約5.8イニングを投げました。もし8月以降も先発6人で回すなら、多くても残り10先発。1試合平均6イニング投げても60イニング。予想値では計159回1/3にとどまり、シーズン規定投球回の162イニングには届きません。

しかし、8月以降は中5日で投げることになれば、11先発が可能です。これなら、計165回1/3で規定投球回をクリアできます。

やはり大谷も、先発投手として規定投球回に強いこだわりがあるのでしょう。特に、エースの条件は規定投球回にあると言っても過言ではありません。シーズンを通してケガなく安定した成績を収めた証明になるからです。また、規定投球回に到達すれば防御率ランキングの対象となり、個人タイトル争いやサイ・ヤング賞の可能性も出てきます。素晴らしい成績を残しても、規定投球回に達しなければ、高い評価にはつながりません。

一方、エンゼルスも来季こそプレーオフ進出を果たすためには、エース大谷が中5日で投げ続けられるかを試したいところでしょう。大谷の登板回数が増えれば、チームの勝利数にも直結します。

実際、データでは中5日の適性を証明しています。渡米後、中6日以上を空けて登板したケースでは、通算42試合で16勝10敗、防御率3.72。一方、中5日は11試合で6勝2敗、防御率1.91という好成績です。今シーズンだけを見ても中6日以上は13試合で7勝5敗、防御率3.44に対し、中5日は5試合で2勝2敗、防御率1.42と結果を残します。あとは、夏場で消耗度も激しくなる、スタミナ維持ができるかになるでしょう。

また、中5日で結果を出すことによって、エンゼルスとの契約延長交渉も有利に進めそうです。交渉が難航しても、中5日の実績があれば、他球団からの評価が上がります。優勝を目指すチームは基本的に先発5人ローテーションで、何よりもイニング数が求められます。今後、大谷の動向を占う意味でも、規定投球回はさまざまな観点から、重要性を持ちそうです。(大リーグ研究家・福島良一)