いよいよ始まった2017年MLBプレーオフ。現地3日に行われたツインズとヤンキースによるア・リーグのワイルドカード・ゲームは序盤から波乱に富んだ展開となった。

 試合開始早々、ツインズの先頭打者ブライアン・ドージャーが先制本塁打を放った。ヤンキースの先発ルイス・セベリーノはさらに四球を出したうえ、4番のエディ・ロサリオに本塁打を打たれ、3点のリードを奪われる展開となったのである。しかも続く、5番、6番と連打され、1死2、3塁というピンチを招いた。

 この時、この試合を決めたかもしれない決断をしたのがヤンキースのジョー・ジラルディ監督だった。セベリーノを諦め、チャド・グリーン投手をマウンドに送ったのだ。1試合で決着するワイルドカード・ゲームは何が何でも勝ちに行かなければいけない。それが早めの決断になったといえるが、ジラルディ監督は先発投手に見切りをつけるのが早すぎるという批判も受けてきたのである。リリーフ陣が充実しているが故、そうできるともいえるが、この1回1死での交代は裏目に出、プレーオフ敗退と更なる批判を受ける可能性もあった。

 しかし今回のジラルディ監督の決断は賞賛を生んでいる。グリーンは登板するや2連続三振でピンチを凌ぎ、3回に1点を失ったものの2回を投げ、3番手のデイビッド・ロバートソン投手につないだ。ロバートソンは3回1/3を無失点に抑え、4番手のセットアッパー、トミー・ケインリーも1本のヒットも許さず2回1/3を投げて、クローザーのアロルディス・チャップマン投手に9回を託したのだ。チャップマンは3三振でその責任を果たしている。

 この間ヤンキースの攻撃陣は1回裏にディディ・グレゴリウス遊撃手の本塁打で同点に追いつくと、ブレッド・ガードナー左翼手やアーロン・ジャッジ右翼手の本塁打などで点を重ね、8対4で勝利したのである。

 救援陣はチャップマンをのぞき、通常より長いイニングを投げることになったが、ジラルディ監督の期待に応える好投を見せた。この点は信頼感あってのものだろう。

 この試合はヤンキースがホームで、いわゆるホーム・アドバンテージが大きかったともいえるが、ただワイルドカード・ゲームに限ってはそうも言い切れないところがある。この制度が導入された2012年以降、昨シーズンまで両リーグで10試合が行われたが、ホームのチームが勝ったのは3試合だけなのだ。しかもア・リーグでの2勝はいずれも延長での勝利というきわどいものだった。必勝、というプレッシャーはホームほど強くなるのかもしれない。それ故に今回のジラルディ監督の決断が印象強く映ったのである。