現地9日の深夜、ドミニカ共和国で元レッドソックスのデービッド・オルティス氏が銃撃される事件が起きた。43歳のオルティス氏は父と姉が住むサントドミンゴに頻繁に旅行しており、同地のバーを訪れた際に撃たれたものだ。

オルティス氏は2003年にメジャーデビューすると2016年まで強打者としてレッドソックスの中核を占めた。3度のワールドシリーズ制覇に貢献し、オールスターに10回選出、541本塁打を記録している。ビッグ・パピという愛称で多くのファンから親しまれてきた人物だ。それだけに今回の事件は大きな反響を生んでいる。

オルティス氏はドミニカで胆のうと腸の一部を除去する手術を受けた後、さらなる治療のため10日夜にレッドソックスのプライベートジェットでボストンに搬送され、2度目の手術を受けたということだ。肝臓にもダメージがあるという。ただ妻のティファニーさんが出した声明によると「彼の状態は安定しており、今後数日間集中治療室に留まるでしょうが、回復に向け順調に進歩しています」とのことで一安心といったところだ。ボストンでの手術後、歩行したという報道もある。

レッドソックスのテリー・フランコナ監督はボストンへの移送に関し「彼は信頼できる人々に任されている。これ以上ない場所、これ以上ない人々とともにある」としたうえで、「彼は私だけでなく、多くの人にとって非常に特別な人だ」とコメントしている。さらにオバマ前大統領も「オルティスの精神と決意で私たち全員がボストンマラソンの爆撃から癒され始めたのです。すぐに元気になろう、パピ」とエールを送っている。またチームメイトだった上原浩治氏もツイッターに「パピー(オルティス氏の愛称)の回復を願ってます!! Praying for you Papi」というメッセージを投稿しており、オルティス氏がいかに愛されている人物かが改めてわかる状況だ。

一方、銃撃した犯人に関しては混迷を深めている。発砲したしたのはエディ・ウラジミール・フェリス・ガルシア容疑者でオルティスさんと一緒にいた友人でテレビ司会者のジョエル・ロペスさんを銃撃後、バイクで逃走しようとしたが、転倒し居合わせた人たちがフェリス・ガルシア容疑者を取り押さえて警察に引き渡した。

警察はその後計6人を逮捕し、銃撃に際し40万ドミニカペソ、約85万円が支払われていたと発表。「現時点で、彼らは尋問されており、何が起こったのかについての真実を得るために調査を進めていく」とし、事件が計画的なものであることを示唆している。対してフェリス・ガルシアの弁護士は犯罪について知らず、無実のオートバイタクシー運転手にすぎないと主張している。

真相は未だ不明だが、まずはオルティス氏の回復を祈るばかりである。