これまで報じられていた2つのサイン盗み疑惑について立て続けに大きな動きがあり、その影響はさらに続きそうだ。

現地13日、MLBはロブ・マンフレッドMLBコミッショナー名で9ページにわたる調査レポートを公開し、2017年のプレーオフ中にアストロズがビデオカメラを使ったサイン盗みをしていたと認定。ジェフ・ルーノーGMはサイン盗みを知らなかったと発言していたものの知っていたと断定し、AJ・ヒンチ監督は反対していたものの、止めることができなかったとした。

そして2人に対し無報酬1年間の出場停止、チームには規定で最も重い500万ドル(約5億5000万円)の罰金、2020年、2021年のドラフト1巡目、2巡目の指名権剥奪という処分を下したのである。これを受け、アストロズは即日2人を解任した。

さらに当時ベンチコーチを務め、2018年にレッドソックスの監督に就任し同年ワールドシリーズを制したアレックス・コーラ監督がサイン盗みの首謀者の一人であり、さらにレッドソックスでもサイン盗みを行った疑惑で調査が進行していることが示唆されもした。

これに対してレッドソックスは21年まで契約が延長されていたコーラ監督を14日に解任するに至った。ただMLBとしての処分は調査終了後に決められることとなる。

その一方で17年にアストロズに所属していた選手のほとんどが相手捕手のサインを伝えられたか、またはサイン盗みに参加していたとしたものの、選手は処罰の対象から外された。

ただそれで収まらないかもしれないのがメッツのカルロス・ベルトラン監督についてだ。ベルトランは選手としての最終年となった2017年にアストロズに在籍。この疑惑を最初に報じたウェブサイト、ジ・アスレチックの記事ではサイン盗みの計画の中心人物の一人とされ、MLBの調査レポートでも選手としてはただ一人実名で登場している。

さらに現役を引退した2018年にベルトランはヤンキースのアドバイザーに就任したのだが、ロンドンで開催されたレッドソックスとの2連戦で連勝した際、サイン盗みを示唆する発言がコーラ監督がしていたと報じられているのだ。連敗について「彼らは昨年よりずっと良くなった。細部への注意は驚異的です。彼らの最大のフリーエージェント獲得はカルロス・ベルトランだと冗談を言っていました。彼がどのように働いているかわかっています」とコメントしたうえで「デバイス」という言葉まで使っていたというのである。

また昨年11月にはアストロズのアレックス・ブレグマン三塁手がやはりジ・アスレチックのインタビューで「カルロス・ベルトランは今年ヤンキースを数多く助けたと思う。多すぎるぐらいね」、「彼は舞台裏で多くのことを助けた」とも発言していた。

こうしたことに対し、ベルトランに関してヤンキースとメッツになんらかの影響が出るのではないかという声が高まっている。元ヤンキースのマーク・テシェイラ氏はスポーツ専門局ESPNに対し「メッツには選択肢がないと思う。カルロス・ベルトランを解雇しなければならない」とコメントした。

果たしてベルトラン監督も解任されることになるのか、このサイン盗み問題はまだまだ尾を引きそうである。