断裂した肘の靱帯を再建する手術、通称トミー・ジョン(TJ)手術を含めた緊急性のない手術を、新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまで、同手術の名医として知られるジェームズ・アンドリュー医師が停止した。同医師の所属するフロリダ州のアンドリュー整形スポーツ医科研究所が発表したと1日付のボストン・グローブ電子版が報じたもの。

同研究所の広報担当者は同紙に「知事の命令に従い、トミー・ジョンの手術を含む緊急ではない処置は行っていない。我々はこれらの制限を順守しており、そのようなケースは現在すべて停止しています」と語っている。

先週メッツのノア・シンダーガード投手がTJ手術を受けることに、地元ニューヨークのメディアなどから批判の声が挙がっていた。そんな中、先月26日シンダーガードは予定通りフロリダ州の特別外科病院でデービッド・アルテチェック医師による手術を受けている。さらにレッドソックスの左腕クリス・セール投手も3月30日にカリフォルニア州ロサンゼルスのケーラン・ジョーブ研究所でやはりTJ手術を受けた。

一方でアメリカ外科医師会は病院に対し不要不急の手術を中止することを検討するように要請しており、ニューヨークとフロリダを含む複数の州ではそうした手術を一時的に禁止したこともあり、TJ手術を受ける選手に対する批判はさらに高まることになっていたのである。

整形外科医はコロナウイルスへの対処に直接必要とされていないという意見もあるが、手術では不足が指摘されている防護服やマスクといった保護器具などを使用する点も問題視されている。

同紙によれば関係者はシンダーガードの手術がフロリダ州の手術の必要性を定めたガイドラインに適合していたと語ったということだ。

またアンドリュー医師はセールが昨シーズン最初に肘に違和感を感じた際と今スプリングトレーニングで再発した時に治療を行っている。しかし月曜の手術では担当しなかったということだ。