MLBのいくつかのチームが遂にチケットの払い戻しを開始した。新型コロナウイルスの流行によってMLBは3月12日にスプリングトレーニングが中断され、3月26日に予定されていたシーズン開幕も延期となり、現在活動が停止した状況が続いている。

いくつかの州で活動制限を緩和する動きが出ており、これまでアリゾナ州でのみ、アリゾナ州とフロリダ州、さらにテキサス州を加えた3州での集中開催が取りざたされている。開幕時期に関しても7月2日説なども上がっているが、いずれにせよ開幕当初は無観客試合となり、162試合をこなすことは無理で120試合や100試合の短縮スケジュールになることが濃厚だ。

ただMLBはこれまではあくまでシーズン開幕が延期されているとの判断で、各チームに既に販売されているチケットの払い戻しを許可してこなかったのである。これに対し、先週カリフォルニア州のファン2人が苦情を申し立て、払い戻しを求めるファンを代表した集団訴訟の認定を求めるまでになっていた。またいくつかの州検事総長事務所は、返金不可の方針についての苦情が寄せられてもいたのである。

こうした状況に対し、MLBも予定通りのシーズンにはならないと決断し、現地28日に全チームに対し払い戻しを許可する通達を出した。払い戻しの条件などは各チームが決められるとしている。

これを受け、さっそく29日にはカージナルスやレッドソックス、カブスなどが払い戻しの規定を発表している。インディアンズの場合、ホームゲームのチケットを購入していたファンは3月と4月以降の今年と来年の試合のチケット購入のための10パーセントのボーナスクレジットを受け取れるとしている。

レッドソックスも同様のボーナスクレジットをシーズンチケットの所有者に提供するとした。サム・ケネディ社長は「2020年シーズンの可能性を引き続き検討しており、4月と5月に予定されていた試合のチケット購入者にオプションを提供することが重要です。私たちは、パンデミックの影響をスケジュールに反映するべく取り組んできました」とコメントしている。

カブスは5月までのチケットを所有している全員に払い戻しを行い、将来の試合のチケット購入に使えるクレジットを5パーセント分提供するとした。

ツインズはシーズンチケットの代金を全額支払っていたファンには15パーセントのクレジットを付与するとし、単独試合のチケット購入者にはクレジットの付与か、チームのウェブサイトを通じた払い戻しを申し込めるオプションを提供する。

苦渋の決断といえる払い戻しに関してもそれぞれのチームが知恵を絞っている状況だが、これも一歩前進と捉えるべきなのだろう。