マイナーリーグベースボール(MiLB)が激動に見舞われている。現地3日にスポーツ専門局ESPNがMiLBの本部がフロリダ州セントピータースバーグからニューヨークのMLB本部に移転することになると報道した後、8日にMiLBのパット・オコナー会長が今年いっぱいで退任するとリーグ公式サイトが発表したのだ。オコナー会長は1993年にMiLBに加わった後、2007年から同職に就いていた。

これらの動きの背景にあるのはMLBがMiLBとの関係を改革しようとしていることにある。これまでMLBはMiLBと協定を結び、MiLBとその所属チームは独立運営であるものの、選手はMLBの傘下にあり、提携するMLBチームがMiLBチームに選手を派遣する形がとられてきた。このためMiLBチームは選手への給与を支払わなくてもよかったのである。

この給与負担がMLB側にとって重く、削減するため、現在の協定が今年9月いっぱいで期限を迎えるのを機に新たな協定で大きな変更を実現しようとしてきたのだ。具体的には現在162あるMiLB所属チームを120にまで減らすというものだ。MLB1チームあたり提携するMiLBチームは4となる。ルーキーとショートシーズンのクラスAのリーグは廃止となる見込みだ。低いレベルの選手はMLB各チームがスプリングトレーニングを行うアリゾナとフロリダの施設でトレーニングを行うことはできるが試合の出場給などは支払われない。

こうしたMLB側の要求に対して、オコナー会長を筆頭にMiLB側はこれまでの体制を維持することを目的に徹底抗戦の姿勢を見せてきた。ただMiLBチームのオーナーには新たな体制に移るべきという意見を持つ者も多いとも報じられている。

そんな中襲ったのがコロナ禍である。MiLBは今シーズンが全て中止される事態に追い込まれ、その損失は計り知れない。そのためMLBからの圧力に抗いきれなくなった模様だ。

今回の本部移転とオコナー会長の辞任は実質的にMLBの要望に沿った新たな協定が結ばれることになることを示したことになる。新たなMiLB傘下から外されることになる42チームは現在明らかになっていない。外された場合、チーム存続を望むなら独立したチームとなるが既存の独立リーグに入るのか、新たなリーグを設立するのかもわからない状況だ。

若手選手の育成機関であり、各地域の貴重な娯楽でもあるMiLBが今後どのようになっていくのだろうか。