ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがリーグの拡張、エキスパンションが行われた場合、新規参入チームの加盟料は22億ドル程度になるだろうと発言して注目されている。これは現地4月27日に開催されたオンライン会議「SporticoLive」で明かしたもの。

22億ドルという数字は1998年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスとタンパベイ・レイズが支払った1億3000万ドルの約17倍だ。その一方で昨年11月に経済誌フォーブスがMLBで6番目に資産価値があるとしたメッツをヘッジファンドマネジャーで大富豪のスティーブ・コーエン氏が24億ドルで買収している。同誌のチーム資産価値ランキングで中央値にあたるのがブルージェイズで16億8000万ドルだった。

ロブ・マンフレッドMLBコミッショナー(17年10月、撮影・菅敏)
ロブ・マンフレッドMLBコミッショナー(17年10月、撮影・菅敏)

しかもコミッショナーが示したのはあくまで新規参入チームがリーグに支払う加盟料で、スタジアムの費用や選手やスタッフの給料など、チーム運営に必要な費用は含まれていない。そう考えると新規参入には莫大な資金が必要であることがわかる。コミッショナーは加盟料がこれほど高額になる理由について、チームを増やすことによるレベニューシェア、収益分配が希薄化し、チームに支払われる額が下がることを補う必要があることと、フランチャイズの価値を挙げている。

MLBはいずれ2チームを追加し、各地区のバランスが良い32チーム体制に拡張するだろうというのが大方の見方だ。ただその一方でコミッショナーは資産価値で26位のアスレチックスと29位のレイズが新スタジアムを建設するまでは拡張は実現しないだろうとも発言している。ちなみにアスレチックスの新スタジアム建設費は120億ドルに達する見込みだ。

今回示された費用を見ると、大富豪の多いアメリカであっても新規参入は容易でないことがわかる。コーヘン・オーナーのように既存のチームを買い取ることの方が賢明なようにも思えるのは事実だ。とはいえ、新規参入の動きは各地で続いている。シャーロット、ラスベガス、ナッシュビル、ポートランド、2004年にエクスポズを失ったカナダのモントリオールなどの都市がしばしば候補地として挙がっている。果たして近い将来に新規参入、リーグ拡張は実現するだろうか。