現地15日、MLBは投手が使用する滑り止めの粘着物質使用取り締まりを21日から始めると、正式発表した。試合中に審判によるチェックが行われ、粘着性の異物が確認された場合は即刻退場となり、10試合の出場停止処分となる。

シーズン半ばでのルール改定に対してはこれまでパドレスのダルビッシュ有投手などから批判など様々な意見が寄せられ、大きな議論となっていた。それでも強行されたことに対していち早く批判の声を挙げたのがドジャースのトレバー・バウアー投手だ。バウアーはこれまでもMLBの姿勢に批判的だった。

19年4月、インディアンス時代のトレバー・バウアー
19年4月、インディアンス時代のトレバー・バウアー

今回の決定を受け、バウアーはツイッターにレイズのタイラー・グラスノー投手が右ひじの靱帯損傷を負ったのは日焼け止めやロジンの使用が禁止されたことで、グラスナウ選手がグリップを変えざるを得なくなったためだとし、「MLBがやっていることにおける巨大な問題の1つにすぎない。彼らは知っていて、わざと4年間も見て見ぬふりをしてきた。そして、彼らは世間の認識を変えるために条件反射的な反応を実行している。初めから誠実さもないのに彼らが競争の誠実さについて話すのは聞くに堪えない」と投稿したのである。

その上で「はっきり言えば、規約は長期的に見れば問題ないし公平を保つことにつながるだろう。それは良いことだ」と規制自体には賛同したものの「しかし、この3カ月間、選手やチームに、MLBが選択したルールの施行について今年の変更はないと約束し、選手にはこれまで通りのプレーをするように積極的に勧めていたのに、シーズン中にそれを実施するのは違う、それに誠実さはない。MLBは、競争の誠実さという言葉は使わないでほしい。あなた方が気にしているのはビジネスの最終的な利益であり、世間の評価はそれに悪影響を与えるだろう」とさらに批判している。

バウアーは粘着物質を使用してきたと疑われている投手の1人で、この問題が持ち上がって以降投球の回転数が激減している投手の1人でもある。12日のレンジャーズ戦ではフォーシーム・ファストボールが200回転も低下し、他の球種も100回転以上低下し、6回3分の1を投げて9安打6失点、自責点4と今季最多の失点を喫していた。

MLBは三振率の上昇と打率の低下という攻撃面での問題解決のため、今回のルール改定に踏み切ったと見られている。ただその内容と時期について適正だったかについては今後も議論が重ねられることになりそうだ。