100球以下での完封はメジャーでも珍しく、14年に殿堂入りしたグレグ・マダックス氏にちなんで「マダックス」と呼ばれる。日本人では大家友和が05年に98球で、黒田博樹氏が08年に91球で、それぞれ1度達成しただけだ。

 そんな偉業を反骨精神で成し遂げた。この日は敵地フェンウェイパークが舞台。相手先発は昨年17勝のセールと、田中にとっては困難すぎる状況だった。それでも「9割セール勝つと、みんな思っていたんじゃないですか。10割かもしれないな。それを覆したいなって思って。ただ相手に向かっていくだけでした」と集中。ヤ軍投手によるフェンウェイパークでのレ軍完封は通算270勝のムシーナが02年に達成して以来というおまけもついた。

 この日はメジャーで初めて中7日で登板した。調整日につかんだものは「ない」と言ったが、ロスチャイルド投手コーチは「手を少し早めに離し、落ちる球に角度をつけるようにした。それが大きな修正になったかは分からないけれどね」と明かした。調子を上げてきた田中。先発が予想される次カードのブルージェイズ戦へ「いい投球を繰り返していくことが大事」と気を引き締めた。