ドジャース前田健太投手(29)が、ブレーブス戦で7回2安打無失点1四球6奪三振と快投し、デビューから2年連続2桁勝利となる10勝目(4敗)を挙げた。メジャーデビューから2年連続2桁勝利は野茂、松坂(ソフトバンク)ダルビッシュ(ドジャース)田中(ヤンキース)に続き日本投手5人目。電撃移籍が決まったダルビッシュ有投手(30)との新タッグで29年ぶり世界一をつかみに行く。

 苦しみ抜いた前半戦がうそのような快投だった。6回裏2死一塁。3番フリーマンを膝元へのカットボールで空振り三振に仕留めると、客席に届くほどの音量で雄たけびを上げた。続く7回も3者凡退に退けて無失点。文句なしの内容で、2年連続となる10勝目を決定づけた。「ほとんどが勝たせてもらった勝利。チームメートに感謝したいです」。白い歯をのぞかせる笑みに、心身の充実感をにじませた。

 奮起しないわけにはいかなかった。トレード最終期限となった前日7月31日。本拠地から遠征地アトランタへ向かうチャーター機の中で、ダルビッシュ移籍の一報を耳にした。「8割方(ド軍に)来ると思ってたんで…。報道もいっぱいありましたし。ほぼ来るかなとは思ってました」。到着後には、携帯テキストなどで連絡を取り合った。「電話もくれたけど(機内で)出られなくて。よろしくというのと、いろいろと球団の違いもあるので」。メジャー移籍した昨年来、キャンプ地アリゾナでは、時間が合うたびに食事をしたり、トレーニング方法などについて情報交換を繰り返した間柄。その一方で、2学年上の先輩の加入はチーム力アップだけでなく、先発投手陣の競争激化をも意味するだけに、危機感を覚えるのも当然だった。

 10勝目を挙げたとはいえ、依然、先発枠を保証されたわけではない。裏を返せば、前田にとってダルビッシュの加入は「相乗効果」となる可能性のあるプラス材料。「まさか一緒のチームで野球ができるなんて想像していなかったです。尊敬している投手の1人。いろいろアドバイスをもらえたらなと思います」。ド軍にとって、1988年以来29年ぶりとなる世界一へのカギが、前田とダルビッシュの新コンビ。「そうなれば一番うれしいですね」。2人が美酒をかけ合う光景は、かなり高い確率で実現するのかもしれない。【四竈衛】