その一方で、ド軍の野球スタイルに適応しようとする姿勢も見せていた。試合前のホテルでは、データを重視するザイディGMと面談。各球種の使い方やコース、割合など、ド軍独自の情報をインプットした。「今までそういうのはもらったことがなかったです」。前回登板のマーリンズ戦で10失点KOされた際に発見された球種のクセも修正。捕手グランダルのサインに首を振ることなく、快投につなげた。

 1988年以来29年ぶりの世界一を目指すド軍で「優勝請負人」として期待される立場。そんな重圧も「一発快投」ではね返した。試合後の会見では、ド軍の一員となった実感を聞かれると、「まだ省かれていると思います」とジョークで切り返し、米国メディアの笑いを誘った。監督、チームメートだけでなく、ド軍ファンの心をガッチリとつかむ99球だった。【四竈衛】