メジャーの公式戦全日程が終了した。マーリンズのイチロー外野手(43)は、代打のシーズン最多安打記録(28本)にあと1本届かなかった。ブレーブス戦に代打で左邪飛に倒れ、「2位じゃダメ」と、ジョークで自らにダメ出しした。来季の去就は未定ながら、メジャー18年目へ向けて、一両日中にも再始動する考えを明かした。

 最後まで、イチローは執念を見せた。6回裏1死一塁の場面で代打で登場。わずか2球でカウント0-2と追い込まれながら、ボール球を見極め、ファウルでしのいだ。10球目もファウルグラウンドに運んだものの、左翼手が打球に追い付き、イチローの今季最終打席は終わった。

 「これまでいろんな場面、体験をして、それを乗り越えたり、乗り越えられなかったりでしたけど、そうやって得た自信をちゃんと自分の中で思い描いて、支えとして立った打席です。やられましたけど」

 シーズン代打安打28のメジャー記録にあと1本届かず、04年の262安打に続く2つ目の「年間最多安打」は逃した。だが、打率2割5分でレギュラーの3割に匹敵すると評価される代打で、2割7分の好成績を残した。「でも、2位じゃダメなんですよ、BY蓮舫ですね。忘れ去られちゃう」。民進党前代表のフレーズを拝借して、ジョーク交じりに無念の思いを表現した。

 スタントン、オズナ、イエリッチの最強外野陣は盤石で、今季はより破壊力を増した。ただ、イチローにすれば「外野の4番手」の立場を受け入れる一方、出場機会が不規則なサイクルへの戸惑いは、依然として消えていない。シーズン中には「慣れないことに、慣れてきた」と胸中を明かしたこともある。それでも、日々のルーティンを変えることはない。全体練習がなかったこの日も、試合開始2時間前のグラウンドには、黙々とアップを開始するイチローの姿があった。

 マ軍が球団オプション(選択権)を行使し、イチローと再契約するかは、ジーター氏をはじめとする新経営陣次第。ただ、たとえ先行きが不透明でも、イチローはしばし羽を休めた後、数日内には再び2018年へ向け、トレーニングを再開する。3週間後の10月22日、44歳の誕生日を迎えるイチローの生きざまは、今も何ら変わっていない。【四竈衛】