また1つ、新たな歴史を刻んだ。インディアンス戦に「8番指名打者(DH)」で出場したエンゼルス大谷翔平投手(23)が、2試合連続の本塁打を放った。2点を追う5回2死二塁、14、17年のア・リーグのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)右腕、コリー・クルバー投手(31)から同点の1発。先発登板の2日後に打者として出場し、2戦連続の本塁打は、ベーブ・ルース(ヤンキース)でも成し遂げていない。元祖二刀流の“神様”を超える活躍に、全米も驚きの声を上げている。

 メジャー第1号から24時間もたたない間に、また歴史的1発を放った。大谷が捉えた打球は大歓声とともにぐんぐん伸び、中堅左へ吸い込まれた。2戦連続の2号2ラン。日米通算50号は、中盤で試合を振り出しに戻す貴重な一打となった。「今日もワンチャンスを最初のホームランでものにできたのは、流れ的には良かった」。ベーブ・ルースでも成し遂げられなかった1発で、結果的にチームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 観客は総立ちで大谷を出迎えた。前日のデジャビュかのような光景だ。「アンビリーバブル」と頭を抱えるファンもいた。「どちらもうれしかったですね。いいところで打てたというのが良かった」。連日の本塁打を大谷は素直に喜んだ。

 相手は、サイ・ヤング賞右腕のクルバーだった。オープン戦では2度対戦しているが、死球と二飛に終わっていた。雪辱の機会をくれたのはソーシア監督だった。大谷の優れた才能を「物事を分析する力。自分が何をすべきか分かっている」とし、1年目の選手としては「ずばぬけている」と評価。オープン戦で結果が出なくても、信頼して使い続けてきた。

 その指揮官の起用に応える同点弾だった。1打席目は外角いっぱいの直球を見逃し、三振に倒れた。次の打席ではその直球をイメージし、頭にインプットしていた。「甘い球をしっかり打てたのはラッキーだった」と謙遜したが、第1打席よりやや真ん中に入ってきた直球をコンパクトにスイングし、スタンドへと運んだ。何をすべきか正確に理解し、結果につなげた。

 本拠地デビュー戦から2試合連続での本塁打は、球団史上6人目で、新人では初めての快挙となった。先発登板の2日後に打者として出場し、2戦連続の本塁打は、ベーブ・ルースでも成し遂げていない。「すごく順調にきていると思います。出来すぎじゃないかなと思う」。野球の神様を超える活躍を見せる大谷に、早くもメジャーのレジェンドとなる雰囲気が漂ってきた。【本間翼、斎藤庸裕】