エンゼルス大谷翔平投手(24)が、本塁打を含む2安打3打点の活躍で、4番7試合目での初勝利を飾った。1点を追うロッキーズ戦の4回、無死二、三塁で中堅へ逆転の15号3ランをたたき込んだ。8回には無死一塁からの左前打でチャンスを広げ、再逆転につなげた。試合前に行った3度目の実戦形式の投球も好感触。“二刀流”の復活へ、さあ準備は整った。

右足をしっかりと踏み込み、大谷はフルスイングした。4回の第2打席、1点を追う無死二、三塁の場面。グレイの外角甘め、93・7マイル(約150・7キロ)の直球を捉えた。大谷らしい中堅方向への15号3ランは「良い仕事が出来たと思う。良いスイングだった」と納得の一振り。80年代のオールドユニホームに身を包み、ピョンと跳びはねて仲間とハイタッチした。

三度目の正直だった。相手捕手はウォルターズ。オープン戦で打席後方からうそをささやかれ、5月8日の交流戦では厳しい内角攻めで打ち取られた。くせ者と3度目の対戦で、きっちりリベンジ。同捕手は「やられたよ。どんどん厄介な打者になっている」と、打たれた瞬間にがっくりと肩を落とした。

1発だけではない。つなぎの4番としても仕事を果たした。救援陣が崩れて逆転された8回、無死一塁から技ありの流し打ちで好機を広げ、再逆転につなげた。「ビッグイニングにつながる良い打撃だった。欲を言えば最後、もう1本打って、ダメ押しを入れられれば良かった」。この回2度目の打席で三振したことを悔やんだが、8月は打率3割3分3厘、6本塁打、18打点と絶好調。今季7試合目にしてようやく、4番打者で勝利に貢献した。

メジャーの先輩たちにも、また1歩近づいた。1年目での15本塁打は日本人メジャー選手では歴代3位タイ。「最初よりは確実に技術的にも進歩していますし、打席の中での待ち方もすごく良い」と成長を実感しながらも、「シーズン全体を通してみたら、自分に与えられた仕事は出来ていない」と謙虚さは失わない。試合前には右肘故障後3度目となる実戦形式の投球練習も行った。「前々から準備はしているので、ここで行って欲しいというところに合わせて準備したい」と意欲を見せ、いつでもいけるのかという質問にも「もう行けます」ときっぱり。“二刀流”が、再び上昇気流にのってきた。【斎藤庸裕】

<大谷記録メモ>

▼新人で15号を記録したのは12年トラウト(30本)以来球団史上12人目。

▼15号はア・リーグ新人4位。1位はヤンキースのエンドゥハーで21本塁打。

▼同一シーズンで15本&4勝は1888年ジミー・ライアン(16本&4勝)、1919年ベーブ・ルース(29本&9勝)以来99年ぶり3人目。

▼1年目にシーズン15本塁打を打った日本人選手は06年城島(マリナーズ=18本)以来12年ぶり4人目。4番では2試合連発で、これは松井秀(ヤンキース)が04年に2度、09年に1度記録して以来2人目だ。また今月は6本目で、月間6本以上は09年8月松井秀(8本)以来。1年目に記録したのも03年6月松井秀(6本)に次ぎ、15年ぶり2人目。