【ピオリア(アリゾナ州)19日(日本時間20日)=四竈衛、斎藤庸裕】マリナーズ菊池雄星投手(27)が、「日本一左腕」の力を発揮した。メジャーで初めて実戦想定の投球練習(ライブBP)を行い、打者4人に対して30球、安打性の当たりは2本だった。空振り4球のうち、3球が直球。スピード以上に、威力があった。夢見ていたイチロー外野手(45)との対戦はなかったが、実力を見せつけた。順調なら25日(同26日)のレッズ戦で、オープン戦初登板となりそうだ。

  ◇  ◇  ◇

菊池の直球が、勢いよくミットに吸い込まれた。緊張感も漂う中、最初の打者への2球目と7球目。ズドンと威力のある球で空振りを奪った。「ボールは思ったよりも良かった。直球に関しては空振りもとれたし、(打者を)差し込めているボールも何回かあった」。確実な手応えを得て、メジャーで初めてとなる打者相手の投球練習を終えた。

直球は90~92マイル(約145~148キロ)をマーク。対戦した打者の1人、通算54本塁打のサンタナは「直球が非常に伸びていた。最後の打者の時も(後方から)見ていたけど、本当に速かった」。スピードに加え伸びと力もあった。首脳陣の前で実力をアピールし、菊池は「最初の方、力んでシュート回転したけど、最後の方は良い軌道だった」と満足そうに振り返った。

変化球を含めて30球、「今持っている(力の)思い切り、全力で腕を振った」と必死だった。それもそのはず、直前のブルペンでは憧れの存在にも気付かなかった。最後の11球、背後からイチローに見守られていたことを報道陣から伝え聞くと、「マジですか? 全然、気付かなかったです。自分のことでまだまだ精いっぱいで…」と苦笑い。それだけ集中していた証拠だった。「日本で一番いい左投手」と褒められたレジェンドとの対戦はかなわなかったが、日本一左腕の片りんを存分に見せつけた。

直球に手応えを得た一方で、スライダーには課題が残った。2人目のベッカムには初球の甘いスライダーを左翼線へ運ばれた。「まだまだ抜けるボールがある。修正が必要」。それでもサービス監督からは「良いと思うから、引き続き頑張って」と激励された。今後は、中2日で2度目のライブBP、再び中2日空けて実戦登板となる見込み。順調ならオープン戦初登板は25日のレッズ戦となりそうだ。「今日、気付いたこともあった。徐々に良い形にしていければ」。収穫を得て、1歩ずつ階段を上る。

◆菊池の投球内容

【1人目 ラリー(招待選手)】

1球目 直球 ボール

2球目 直球 空振り

3球目 直球 ボール

4球目 スライダー 見逃しストライク

5球目 直球 ボール

6球目 チェンジアップ ボール

7球目 直球 空振り

 

【2人目 ベッカム(遊撃手レギュラー候補)】

1球目 スライダー 左安

2球目 直球 見逃しストライク

3球目 チェンジアップ ボール

4球目 直球 ボール

5球目 カーブ 空振り

6球目 直球 空振り

7球目 チェンジアップ ボール

 

【3人目 サンタナ(17年にシーズン30本塁打、通算54本塁打の外野手)】

1球目 直球 見逃しストライク

2球目 スライダー ボール

3球目 チェンジアップ 見逃しストライク

4球目 直球 ファウル

5球目 カーブ 左安

6球目 チェンジアップ ボール

7球目 スライダー ボール

 

【4人目 ネグロン(控え内野手)】

1球目 直球 ファウル

2球目 直球 ボール

3球目 チェンジアップ ボール

4球目 カーブ 見逃しストライク

5球目 直球 ボール

6球目 直球 見逃しストライク

7球目 直球 見逃しストライク

8球目 スライダー 見逃しストライク

9球目 直球 ファウル