元メッツの名手で殿堂入りを果たしているトム・シーバー氏(74)が認知症と診断されたことが分かった。家族が7日に殿堂を通じて発表し、公人としての活動からは引退したと述べた。

ナ・リーグのサイ・ヤング賞に3度選出されているシーバー氏は、1967年にメッツでメジャーデビューし、その年のナ・リーグ最優秀新人賞を受賞。レッドソックスで引退する86年までに311勝(205敗)を挙げ、通算防御率は2・86、3640三振、61完封を記録。メッツ時代の69年には、強敵オリオールズとのワールドシリーズ第4戦で10回を投げて6安打に抑え、下馬評を覆しての優勝に貢献した。レッズ時代の78年6月には、カージナルス戦で自身唯一となるノーヒットノーランを達成している。

オールスター選出12回を誇る同氏は、69年に両リーグトップとなる25勝7敗をマークし、71年にも両リーグ最高の防御率1・76を記録。年間20勝以上を挙げたのはキャリアで5回あり、92年に当時最高の98・84%という得票率で殿堂入りを果たした。

69年7月9日のカブス戦では、先頭打者から25人連続でアウトに仕留めるという偉業を成し遂げた。投手として最高の瞬間についてはのちに「妻にこう言ったのを覚えているよ。僕は10三振を奪い、1安打に抑えた。これ以上何を望めるかい?」と、述懐している。