【アナハイム(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=四竈衛、斎藤庸裕】雄星、無念-。マリナーズ菊池雄星投手(27)がメジャー移籍後初めて実現した花巻東高の同窓対決で、エンゼルス大谷翔平投手(24)に初被弾した。

左中間本塁打を含む3打数2安打。人生初の3者連続被弾など4回途中7失点で4敗目(3勝)。高校の後輩に屈して3戦連続で早期KOと、メジャー1年目で試練の時期を迎えた。

   ◇   ◇   ◇

打たれた瞬間、脱力した。ダイヤモンドを1周する大谷の姿を、菊池はぼうぜんとしたまま、視界の隅で認識した。4回、ラステラに初球、トラウトには2球目を外野席へ運ばれた。気持ちの整理が終わらないまま、大谷には初球のカーブを左中間へ運ばれた。わずか4球の間に、人生初の3者連続被弾。「経験したこともないような悔しさを感じました」。その後、2四球で交代。唇をかみしめダッグアウトへ向かい、1点を見つめたまま固まった。

大谷との同窓対決が注目を集めた一方で、菊池自身には、感慨に浸る余裕はなかった。過去2試合連続で4回途中KO。疲労回復と調整目的で登板予定を1回飛ばし、中8日で迎えたマウンドだった。その間、映像でチェックを繰り返したうえで、3回ブルペンに入り、フォームを修正。2段気味だった右足の上げ方をシンプルに変えてエ軍打線に挑んだ。

だが、結果的に大谷の一打を機にリズムを崩した。1回2死で迎えた大谷との米国初対決は、互いに目を合わすことなく始まった。初球、内角高めの速球でのけぞらせると、続く速球は空振り。敵地スタンドがどよめくほど、互いに力を込めた一瞬だった。3球目のスライダーを引っかけさせたものの、大きく空いた一、二塁間にゴロが転がり内野安打。その後、詰まった安打、味方失策などで3点を先行された。結局、菊池は最後までペースを取り戻せず、79球で降板した。「悔しい結果になりましたけど、同じリーグでまた対戦する機会が今後も多くあると思うので、次につなげたいと思います」。

本来の力を出せずに終わった初対決。ただ、試合後の菊池は、大谷に打たれたこと以上に、置かれた立場に目を向けた。「どう自分自身がこの現状を捉えるかで、今後の結果、野球人生も変わってくると思っているので…。この苦しい、苦い経験を必ずプラスにしたいと思います」。落ち着いた口調は、最後まで変わらなかった。対決は続く。

▽マリナーズのサービス監督(菊池について)「球自体は良かった。エンゼルス打線から三振を取るのは難しい。ただ、彼はいろいろなことを学習している過程。これからも修正を続けていけば大丈夫だろう」