【ワシントン27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】アストロズが2年ぶりのワールドシリーズ制覇へ王手をかけた。第5戦、今季20勝でア・リーグ奪三振王の右腕ゲリット・コール投手(29)が7回3安打1失点。9奪三振、110球の力投を見せた。一方のナショナルズは先発予定だったマックス・シャーザー投手(35)が急きょ登板を回避。エースのアクシデントが響き、86年ぶりに首都ワシントンで行われたシリーズ3連戦で3連敗を喫した。

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鉄腕コールがワシントンを制圧した。3点差に詰め寄られた7回2死一塁、力を振り絞った。109球目、こん身の直球は最速の約161キロ。ボールとなったが、110球目、約158キロの直球で見逃し三振を奪った。今ポストシーズン(PO)47個目の三振で、カート・シリング氏の56三振に次ぐPO史上2位の記録をマークし、「それは知らなかったけど、すごく特別なことだね」と喜んだ。

力だけではなかった。「多くの球種をしっかり投げ切れた」と、ナックルカーブ、スライダー、チェンジアップを丁寧に制球した。7回5失点で負け投手となった第1戦では、3球種の空振りが5球だったが、この日は9球。見逃しストライクも6球から10球と増え、変化球が生きたことで直球も効果的に使えた。コールをリードした捕手マルドナドも「全ての変化球が良かったよ」。4番ソトに浴びた1発のみの1失点で、流れをたぐり寄せた。

本拠地での連敗から敵地で3連勝。一気に王手をかけた。コールは「何人かはワールドシリーズの経験がある。粘り強さが、ふさわしい言葉だと思う」と話した。自身も第1戦で打ち込まれながら、きっちりリベンジ。中4日、110球の力投でナ軍をねじ伏せた。

王手をかけて臨む第6戦は、移動日を1日挟み、本拠地ヒューストンで行われる。ヒンチ監督は「自分たちらしさが戻ってきた。バーランダーがマウンドに上がるし、それが我々に自信をもたらしてくれる」。20勝投手コールの次は、21勝投手バーランダーが先発。一気に栄冠をつかむ。

▽アストロズ・コレア(4回に追加点となる2ランを放ち)「タフな投手だったけど、失投の1球をいいスイングで打つことができた」

▽アストロズ・グリエル(8回に貴重な追加点となる中前適時打)「もう1つ勝ってワールドチャンピオンになるために、しっかり集中したい」