昨季限りで社会人野球バイタルネット(新潟)を退部した冨岡聖平投手(23)が、アスレチックスとマイナー契約を結んだことが分かった。

昨年11月に都内で行われた入団テストで自己最速の95マイル(約152・9キロ)をマーク。スカウトから高い評価を受けた。

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アスレチックスは昨年11月9日、都内でチームとしては初の投手限定の入団テストを行っており、28選手が参加していた。受験条件は<1>現在NPB球団に所属していない<2>球速144キロ以上の投手の2点。該当する冨岡は受験し、見事に合格した。

入団テストにはスカウト部門で統括的立場を務めるスティーブ・シャープ氏と、環太平洋担当スカウトのアダム・ヒスロップ氏が、スピードガンを手に入念にチェックした。その際、シャープ氏は日本で投手限定の入団テストをする背景について「世界で最もレベルが高いのはアメリカ、ベネズエラ、ジャパン。どういうプロセスをたどるかは別に、私たちはメジャーで通用するピッチャーを探してます。何人かのサプライズはあったよ」と説明し、メジャーを視野に入れたスカウティングであることを明かしていた。

日本担当スカウト3年目の富塚俊幸氏は、日本での入団テスト実施までのプロセスについて次のように語った。「日本では大学進学か、社会人、もしくはプロに進めない選手は18歳で投手をあきらめてしまう現実があります。ふるいとして、その目は粗すぎます。投手としての夢を追える機会を設けたかった」。

その上でNPB、アマチュア球界とのトラブルを避けるために、丁寧に調査をして、受験者がフリーの立場を確認するための細心の注意を払った。富塚氏は「我々に日本球界の秩序を荒らす意図はありません」と言い、今回を契機に続けて日本での入団テスト開催を視野に入れていることにも触れていた。

今後は米国ビザ申請の手続きを進め、3月のアリゾナでのマイナーリーグキャンプに参加する予定だ。

◆冨岡聖平(とみおか・しょうへい)1996年(平8)2月29日生まれ、富山・黒部市出身。田家小3年時に田家イーグルスで野球を始め、鷹施中では軟式野球部所属。桜井では1年秋からベンチ入り。東洋大を経て、バイタルネット入社。180センチ、89キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹2人。血液型O。憧れの選手はイチロー。