米大リーグ(MLB)のキャンプ再開は、6月1日が有力視されていることが28日(日本時間29日)、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大により、3月中旬にオープン戦とキャンプが中断。3月26日に予定されていた開幕も延期となり、その後の日程については見通しが立っていなかった。州によっては今月下旬から感染拡大のピークを過ぎる傾向が出始めており、同時にMLBの開幕が、少しずつ近づいてきた。

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メジャー開幕への道筋が徐々に見えてきた。複数の米球界関係者の話を総合すると、6月1日にもキャンプが再開される見込みとなった。またこの日、USAトゥデー電子版はMLB関係者の話として、6月下旬、遅くとも7月2日までの開幕を目指す意向を報道。少なくともシーズン100試合を行い、各チームの本拠地でも無観客を条件に開催できる可能性を伝えた。

2月中旬からアリゾナ州とフロリダ州で行われていたキャンプは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月中旬に中断。その後、各選手はオフ期間と同様に各地で自主トレを続けてきた。一方で、機構側は早期開催とより多くの試合実施を前提に、あらゆる可能性を探り続けてきた。

各球団の関係者によると、6月1日をメドにキャンプを再開し同月下旬、または7月上旬開幕を想定しての本格的な準備に入ったとみられる。3~4週間のキャンプ期間で合同練習と実戦を行えれば、仮に7月2日開幕となった場合も、調整時間の不足はなくなる。

依然として、流動的な要素を含んでいるものの、USAトゥデー電子版によるとア、ナ両リーグは再編され、10チームずつ東、西、中の3地区に分かれる案も浮上している。各球団の本拠地で試合を行う前段階としてアリゾナ、フロリダ、テキサスの3州でまず開催する案もあり、最善策を探っている段階。当面は無観客で試合を行いながら、シーズン終盤、またはプレーオフ中に、各地で数千人までの観客を入れる可能性もあるという。

米メディアの報道ではこれまで、30球団をアリゾナ州に集めるなど、開幕へ向けて複数の開催案が挙げられていた。新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化し、感染者の少ない州では徐々にビジネスを再開する動きもみられる。収束への傾向が出始めた中で、MLB開幕への希望が、次第に現実味を帯びてきた。

〇…現時点でアリゾナ州とフロリダ州の外出禁止令は4月30日までと設定されている。感染者数の合計は28日の時点でフロリダ州が約3万2000人と多いが、アリゾナ州は約7000人で比較的少ない。約30万人のニューヨーク州や、約4万6000人のカリフォルニア州などでは、新規感染者数の増加に鈍化の傾向があり、ピークを越えつつあるとの見方もある。また、USAトゥデーはメジャー開催への前向きな要因として、<1>ウイルスの検査がより一層、可能になってきている<2>ビジネスを再開させる州が多くなっている<3>ニューヨーク州のクオモ知事ら多くの政治家が、今夏に本拠地で試合ができる可能性を示唆していることの3点を挙げた。

〇…これまでのメジャー開幕案に対する選手の意見は賛否両論だった。

4月上旬にスポーツ専門局ESPNが、アリゾナ州に30球団を集めて4カ月半、シーズンを戦うプランを報道。今夏に夫人の出産を控えているエンゼルスのマイク・トラウト外野手は、テレビ番組のインタビューで「出産の立ち会いを逃すことはできない。疑問が多い。ホテルとグラウンドの往復だけで何もできないなんて、それはクレイジーだ」と話した。

ドジャースのクレイトン・カーショー投手もロサンゼルス・タイムズ紙の取材で「春キャンプの球場でプレーし、家族からも長期間隔離される。それは可能なことではない」と否定的だった。

◆今季のMLBの流れ

2月中旬 アリゾナ州、フロリダ州でキャンプ開始

3月9日 メディアの球団クラブハウスの出入りを制限することを発表。翌10日から適用

3月12日 オープン戦の中止を決定し、3月26日の予定だった開幕を少なくとも2週間、遅らせることを発表

3月13日 2州ともにキャンプ中断を決定

3月16日 前日に米疾病対策センター(CDC)が、今後8週間にわたって50人以上が集まるイベントの自粛と延期を要請。これを受け開幕の再延期を発表し開幕は早くても5月中旬に。