【アナハイム(米カリフォルニア州)13日(日本時間14日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、右肘の手術後2度目の紅白戦に登板し、開幕へ向け前進した。4イニング相当で64球、2安打1失点で5四死球1三振も、序盤の3イニングは無安打無失点。前回7日の紅白戦先発に比べ、制球力や力感が改善された。メジャー復帰登板が予想される開幕3戦目、26日(同27日)のアスレチックス戦まで調整登板は残り1度となる見込み。課題を克服し、万全で臨む。

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できる限りの力で、大谷は腕を振った。3回2死、メジャー経験のある右打者ウォードを内寄りの直球で詰まらせた。バットから鈍い音が鳴り、二直となった。ストライクを取りにいき、腕が振れなかった前回と比べ「そんなに置きにいく感じもなかった。自分なりの、普通の先発時の感じで投げていたかなと思います。直球もまずまずだった」。5四死球は与えたものの、手応えはあった。

割り切りと基礎反復のたまものだった。前回登板から調整期間は5日。腰の張りの影響もあり、実質3日間しか練習ができなかった。ただでさえ二刀流調整で時間を要する上に、コロナ禍の厳戒態勢でチームの練習時間も限られる。「ないものは仕方ないので、その中で、やるしかない」。割り切って前に進んだ。

何が今、最善か。「一番はキャッチボール。課題やフィーリングを確かめるのに大事」。登板前日は水原通訳に投球フォームを撮影してもらい、確認作業を繰り返した。普段はしないワインドアップで勢いをつけ、短い距離でも助走をつけて投球した。「登板までの練習でどこまで調整できるか。1日1日が大事」。少年の頃から続ける野球の基礎練習にテーマを持たせ、短期修正への糸口とした。

前日は打者で本塁打を含む3打数2安打2打点。実戦ではメジャーで初めて打者出場の翌日に登板した。「体の感じも、昨日出た割には問題なく行けていた」と頼もしく話した。とはいえ、4イニング目(全投球図の48球目以降)で崩れ、2安打2四球で途中降板。「決めにいった時の変化球が抜けていた。そこが決まってくれれば、もっと三振もとれる」と課題を明確にしながら、前を向いた。

次回は19日(日本時間20日)の登板を経て、中6日で26日(同27日)のアスレチックス戦がメジャー復帰マウンドとなる見込みだ。残る調整登板は1度しかないが「ある範囲の中で、工夫しながらやっていきたい」。二刀流復活へ、やるべきことは分かっている。

◆2度目の登板で改善された点

<1>四死球 前回は打者のべ10人で7四球。この日は打者16人で5四死球

<2>ストライク率 30%から40・6%に上昇。直球に限っては、前回の46%から59%まで改善

<3>ワンバウンドの球数 前回の17球から8球に減る