カブスのダルビッシュ有投手(34)がホワイトソックス戦に先発し、7回6安打1失点で今季5勝目(1敗)をマークした。ソロ本塁打で先制を許したが、最速98マイル(約158キロ)の速球と多彩な変化球で毎回の10奪三振。今季初登板で喫した1敗後の5連勝で防御率はリーグ3位の1・70となった。米メディアでは今季のサイ・ヤング賞候補にも挙がっており、存在感は登板ごとに増している。

◆ダルビッシュのスライダーとカットボール この試合では高速スライダーを多投した。これまでの130キロ前後から5キロ前後アップ。140キロを超えるカットボールとのスピード差を縮めて翻弄(ほんろう)しただけでなく、軌道の違いで相手を崩した。

カットボール、スライダーは、ともに横回転の変化球。一般的に、カットボールはストライクゾーンの中で小さく曲げ、芯を外して打たせて取る球種。スライダーはストライクゾーン→ボールゾーン、またはその逆に曲げて空振り、見逃しを狙う。スライダーの球速を上げることで、リリース直後の球種の見分けを防ぎ、カットボールと同じ軌道に見せながらボールゾーンに曲げることで、空振りを狙う効果も上がる。

また、カウント球としても使う速く動くカットボールと、決め球にもなる横や斜めに滑るスライダーの球速差が近くなればなるほど、打者は的を絞りづらい。この2球種を「同じようなところから投げる」と言う技量はメジャー最高レベル。6回2死以降、打者5人から奪った4三振は、いずれも高速スライダーだった。【MLB担当=四竈衛】