控えめなメジャー初サヨナラ打だった。エンゼルス大谷翔平投手(26)が、アストロズ戦の延長11回1死二塁、左腕レイリーのスライダーを捉え、右前適時打で試合を決めた。

劇的勝利も「うれしいですけど、あんまり皆くっつかないように、そういう感じでやっているので。普通のシーズンで打ってみたかったというのはあります」。密な接触を避けるため、もみくちゃにはされず、節度を保って喜びを分かち合った。

「4番DH」で出場し、無安打が続いていた。だが、9回の第5打席で「立ち方がすごく、ピッチャーがよりクリアに見えていた」と、構えた段階から好感触を得ていた。「その感覚のままいってみて、どうなのかなっていう感覚を知りたかった。結果いい打席だったので、良かった」。ボールの見極めが改善され、サヨナラ打につながった。

試合前には、メジャー初の守備にも意欲を示した。8月末から一塁や外野の守備練習を行い、前日からファーストミットを使用。「いけるような準備はして欲しい」と首脳陣から伝えられ、本格的な練習を開始した。右腕の屈筋回内筋群の損傷で現在もノースローの状態。一塁の守備でも送球が求められるが、投手への影響は「強度も違いますし、投げる球数も労力も違う。それはピッチングの球とは別かなと思います」。

指名打者と投手に加え、野手という選択肢も増える。「守れれば、それは幅は広がるのかなと思うので、できるなら守れた方がいい」。メジャー初、プロ初の「一塁大谷」。控えめではなく、全力で挑戦する。(アナハイム=斎藤庸裕)