ヤンキース田中将大投手(31)が11日(日本時間12日)、オリオールズとのダブルヘッダー第2試合(7イニング制)に先発し、5回を3安打1失点の5奪三振で今季2勝目(2敗)を挙げた。1回に先制弾を浴びたものの、その後は無失点。最後は、12者連続凡退と力強く締めくくった。

カギは、宝刀スプリットでもスライダーでもなく、ツーシームだった。2016年前後には多投していたが、ここ数年は球種全体の5%前後。だが、この日は約19%となる17球を左右両打者の内角へ投げ込んだ。「これまでほとんど投げていなかったので、効果的に使えたと思います。打者の反応を見て多く投げました」。配球パターンを変えたことを好投の一因に挙げた。

メジャー1年目の14年は、動く球全盛時代。当時の同僚でもある黒田の影響もあり、沈むツーシームの完全習得に取り組んだ。その後、独自の握りにたどり着いた一方、近年のメジャーはバレルゾーンに基づくアッパースイングが主流。そこで、今季ここまでの数試合は1年目の握りに戻し、高めを突くツーシームに修正してきた。

しかも、今回は6日に続き、2試合連続のオ軍戦。「前回を復習してプランを練りました」。左右両打者とも意図的に高めギリギリを狙い、上体を起こし、腰を引かせる策。低めではなく「吹き上がるイメージ」のツーシームが新球として、抜群の効果を発揮した。

低迷気味だったヤ軍は、ダブルヘッダーに連勝して3連勝。「やることはいつも一緒なので…」。準備は一緒でも、田中の配球、工夫は、実に幅広い。【四竈衛】