カブスのダルビッシュ有投手(34)が25日(日本時間26日)、今季の公式戦最終登板となる敵地ホワイトソックス戦に先発。7回3安打無失点と好投し、ハーラートップとなる8勝目(3敗)を挙げた。

日本人投手初の最多勝をほぼ確実にしただけでなく、投手の主要部門で上位にランクイン。大混戦と見られるナ・リーグのサイ・ヤング賞争いで、あらためて最有力候補に浮上した。

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これまで個人タイトルにはまったく興味を示さなかったダルビッシュが、ほぼ確定した最多勝の話題に、少しだけ笑みを浮かべて反応した。過去3戦は白星と無縁だったが、7回無失点でフィニッシュ。「ショートシーズンですけど、同じ状況なので、その中で1番のものがあるのは、すごく自信になります」。一方的な試合展開でもあり、94球と余力十分で交代。防御率1点台にはわずかに届かなかったものの、メジャー最高レベルの投球術を示すには十分の最終登板だった。

混戦に拍車をかける快投だった。20日の前回登板(ツインズ戦)で6回4失点と苦戦したことで、賞争いから1歩後退したものと見られていた。23日には、対抗馬のバウアー(レッズ)が中3日で8回1失点と好投し、100奪三振に到達したこともあり、米メディアの間では「本命バウアー」の声が高まり始めていた。だが、ダルビッシュは、最終登板を終えて8勝(リーグ1位)防御率2・01(同2位)93奪三振(同3位)投球回数76回(同2位)と主要部門で上位にランクイン。印象度は格段にアップした。

もっとも、ダルビッシュにすれば、サイ・ヤング賞を狙ってプレーしてきたわけではない。15年のトミー・ジョン手術、原因不明の故障など、絶望的な時期を経たうえで、より高い投球を求めて研究、訓練を重ねてきた。「まさか34歳で一番体調が良く投げられているというのは、ちょっと想像できなかったです」。目を向けているのは、プレーオフの先にある世界一。「変に気負っても、あまりいい方向には行かないですから」。チャンピオンリングとサイ・ヤング賞。両獲りが実現すれば、ダルビッシュは、メジャー球史に名前を刻む名投手となる。

◆WHIP(Walks plus Hits per Innings Pitched) 1イニングあたりに許した走者数(安打と四球のみ。死球や失策などは含まない)。投手の安定度を示す。