21年バージョンの二刀流は「下から」。エンゼルス大谷翔平投手(26)が18日(日本時間19日)、今キャンプで初めてブルペン入りし、27球を投じた。球団によれば、最速は90マイル(約145キロ)と軽めの投球だったが、昨年よりも体重移動の際に下半身を沈み込ませる投球フォームに変化。打撃でも軸足の左足を意識し、今季は下半身から二刀流の再復活をかける。

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27球を投げ終えた大谷は、スッキリとした笑顔を見せた。今キャンプ初のブルペンで最速145キロ。軽めとはいえ、ドッシリと、土をつかむように足をグッと踏み込んでいた。「去年より全然いいと思います。(手術をした)患部の面で言うと、なじんできている感覚が強いので、自分の体になっている感覚は去年より全然ある」。振り返る表情にも満足感がにじんだ。

復活の鍵は下半身だ。投球動作で体重移動する際の沈み込みは昨年よりも明らかに低い。また、お尻や太もも回りが大きくなった印象で「体重的には元に戻ったのかなと。特に下半身は。重量的にも体重的にも18年、19年くらいに戻っているかなと思います」と話した。現在の体重は「102キロ」。“戻った”と表現したが、19年の3月中旬で96キロ、昨年2月のキャンプでも95~96キロだったことを踏まえると、違いは歴然だ。

土台を作り上げたことで、投打で好感触をつかんでいる。右前腕の故障で2試合の登板に終わった昨年は最後まで投げ心地の悪さが残ったが、「投げ心地は上がってきていると思います。全体の投球モーション的にも去年よりいいものがある」。打撃でも軸足の左足を意識し、「去年(体が前に)流れている部分とかも多かった。フィジカル的にそういう傾向がけっこう出ていたので、より意識して、軸足を使えたらと思ってます」と意図を明かした。

18年10月に右肘を手術し、19年9月には左膝を手術した。リハビリを終えても「軸足は使いにくいのかなと感じていた」と、違和感があったという。だが、「今は使えている感覚も戻っているので、より変化球、速い直球に対しての反応は良くなってくると思う」。オフに二刀流を支える体を下から作り上げ、準備を整えてきた。「使いたいなと思ってもらえるように、1年1年やるしかない」。21年シーズン、力強く復活の道を歩む。【斎藤庸裕】

○…投球練習の際、大谷の右前腕部分には黒色の細いサポーターのようなものが巻かれていた。故障した患部をケアするものではなく、「腕にかかるストレスだったり、データを集めて、自分が1年間(先発ローテーションで)回るのに一番いい登板の間隔の過ごし方だったり、球数だったりを探していこうというものです」と明かした。

○…日本ハム時代の元同僚との対決に胸を躍らせた。今季からレンジャーズに移籍した有原とは同リーグ同地区で対戦機会が多い。「もちろん楽しみです。ファイターズの時はずっと一緒にキャッチボールをしていたので、どういう風になっているのかも楽しみですし、レンジャーズなので何回もやると思いますけど、1打席1打席、大事にしながらやりたいと思います」と話した。