MLBが11日(日本時間12日)、今季のマイナーリーグ公式戦で実験的に一部のルールを変更することを発表した。近年の米球界では、データに基づいた極端な守備シフトや「フライボール革命」の影響で、本塁打数と三振数が激増。大味な試合展開が目立つようになったことで、野球本来のスリリングなスタイルを見直そうとする声が盛んになっていた。

まず、3Aでは各塁のベースの大きさを現在の「15インチ(約38・1センチ)四方から18インチ(約45・7センチ)に拡大」することを決めた。ベースが拡大されれば、必然的に塁間は約15センチ狭くなるため、塁上での接触による故障防止と、盗塁やセーフティーバントなどが増加するのを狙いとされる。確かに、グラウンドやダイヤモンドの広さを変えることは困難だが、だからといって、ベースを大きくしてしまう奇抜な発想は、日本ではなかなかお目にはかかれない。

2Aでは、極端な守備シフトを制限する目的で「内野手を少なくとも4人配置し、その全員は両足を内野の土の部分に着地させなければならない」と定めた。裏を返せば、内野手5人制はOKだが、外野の芝生部分に足が触れるのはNG。また、シーズンの後半戦からは「内野手は二塁ベースを挟んだ両サイドに、必ず2人ずつ配置させなければならない」などのルールが適用される。ちなみに、現時点で罰則規定は記載されていない。このほか、1Aでは「投手がプレートを外すか、またはけん制球は2回まで。3回目はボーク」など、これまたユニークな新ルールが導入されることになった。

今回の新ルールを検討したラウル・イバネス副社長(グラウンド上での運営担当)は「今回の実験的なルールは、よりインプレーを生み出し、走塁への興味、スピードやフィールド上での動きにインパクトを与えるだろう」とコメント。MLB機構のコンサルタントを務めるセオ・エプスタイン氏は「今年、我々がマイナーリーグで学ぶことは、野球界が正しい道に向かっていくうえで、すべての団体を手助けする基本となるだろう」との声明を発表した。

かつて空き地でプレーしていた野球少年たちは、二塁が存在しない「三角ベース」や、人数不足を補うため「透明ランナー」など、独自のルールを発明した。

球界トップのエグゼクティブらが真剣に議論した末の「特大ベース」などの新ルール。米国球界は、果たして奥が深いのか、それとも野球少年のようにピュアなのか…。とりあえず、球界発展のため、前に進もうとする姿勢だけは尊重したい。【MLB担当=四竈衛】