【ピオリア(米アリゾナ州)21日(日本時間22日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、メジャーでは初の“リアル二刀流”で存在感を存分に発揮した。「1番投手」でパドレス戦に先発。打っては第1打席で中前打を放つなど2打数2安打。投げては4回2安打1失点で5奪三振。3回にはメジャー自己最速を更新する101・9マイル(約164キロ)を計測した。コンディションを考慮しながら、固定観念に縛られないマドン監督と対話を重ねたことで実現したリアル二刀流。オープン戦の打率は6割3分6厘まで上げ、メジャー自己最速もマーク。大谷が、いよいよ乗ってきた。

   ◇   ◇   ◇

162試合のシーズンで果たして体が持つのか-。大谷が今キャンプの練習で右肘に装着しているモータス社製の黒いバンドが、体にかかる負荷を数値で「見える化」し、故障予防の機能を果たしている。同社は昨年2月、データ解析などを行う野球トレーニング施設「ドライブライン」に買収され、経営統合。商品を担当する八木一成氏は、「腕のストレスを数値で見ながら、安全領域のギリギリのところまでトレーニングをしっかり設計していける」と利点を説明した。

故障の原因は負荷の蓄積によるものが大きいとの考えがコンセプト。八木氏によれば「研究ではフォームでケガをしたという証拠がないというのが、モータスの結論でした。むしろ原因は、疲労がたまっているのにあと1イニングとか、無理してちょっとずつ靱帯(じんたい)が伸びて切れてしまった。そういう証拠は山ほどある」という。

メジャー30球団のうち27球団で導入されているシステムで、疲労の蓄積を1日の負荷量(ワークロード)で算出。シーズンでピークを迎えるために徐々に負荷を上げていく。だとすれば、現在の大谷もピーク前の段階。八木さんは「ワークロードをモニタリングしながら安全に段階的にパフォーマンス向上を目指してきた大谷選手であれば、過去最高のパフォーマンスを発揮する可能性は十分にあります」と力強く話した。

シーズンで自己最速の165キロ超えも、もはや驚くことではない。二刀流の完全復活は投手としての状態が鍵。故障のリスクを回避できていることで、投打での好循環が生まれている。【MLB担当=斎藤庸裕】