<エンゼルス-レンジャーズ>◇21日(日本時間22日)◇エンゼルスタジアム

エンゼルス大谷翔平投手(26)が、日米通算100号本塁打を放った。ホームでのレンジャーズ戦に「2番DH」で出場。3回の第2打席で今季5号となるメモリアル弾を放った。

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印象に残る1本がある。日本ハム時代の5試合連発、「1番投手」での初球本塁打、エンゼルス移籍1年目のメジャー1号からの3試合連続本塁打…。数々の衝撃シーンを目の当たりにしてきたが、ふと思い出すのは、新人だった13年7月14日ロッテ戦(札幌ドーム)で放った代打本塁打だ。

4日前にプロ入り初本塁打を放ったが、翌日の試合前練習中、外野をランニングしていた際に打球が顔面を直撃した。病院で精密検査を受けた結果「右頬骨不全骨折」と診断された。

その日から3試合欠場。このロッテ戦もベンチで戦況を見つめていた。3連敗中のチームは3点リードで7回を迎えた。鶴岡の中前打と犠打で1死二塁の好機。どうしても欲しい追加点。栗山監督は右頬の骨が折れている大谷を代打に送った。チームに合流し、練習を開始したのはこの日から。直球を空振りし、フルカウントまでバットにボールが当たることもなかった。

「やはり無理だよな…」。そう思った直後。乾いた打球音がドーム内に響いた。広い札幌ドームの中堅左に飛び込む大アーチ。「骨折後の最初の打席」「プロ1号から2打席連発」「代打ではプロ初アーチ」。さまざまな“ドラ”が乗った。

けがは大谷の不注意だった。打撃練習中に同じグラウンド内で複数の練習を同時に行うプロ野球では、打球に気をつけながらメニューをこなさなければいけない。だがいくら「当たった方が悪い」とはいえ、当てた側の打者は責任を感じ、落ち込んでいた。大谷は試合後、「自分の不注意で迷惑をかけた。大事なベンチの1枠を空けてしまって、申し訳なかった。その分取り返せるようにと思いました」と言った。チームの連敗を止め、打撃練習を行っていた打者の気持ちも救う本塁打。「本当によかった」。心配で胸を痛めていた先輩打者の、安心したような表情が印象的だった。【本間翼】