エンゼルス大谷翔平投手(26)が、本塁打でロケットスタートの4月を締めた。4月30日(日本時間5月1日)のマリナーズ戦に「2番DH」で出場し、4打数1安打1打点。3回の第2打席でタイミングをやや外されながらも、8号ソロを右翼席まで運んだ。メジャー記録を扱うStats社によれば、先発投手の月間8本塁打はベーブ・ルース以来。また、44試合で7本だった昨季の本塁打数、56だった同塁打数も23試合目で早くも超え、充実の4月を打率2割8分4厘、8本塁打、19打点で終えた。

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我慢して我慢して、大谷がリベンジした。3回1死、右腕フレクセンの落差のあるチェンジアップに食らいついた。微妙にタイミングを外されながらもフルスイング。下半身の粘りでたまった力をインパクトで伝えた。昨季の本塁打数を4月の1カ月であっさり上回る右越え8号ソロ。涼しげな表情で、ゆっくりとダイヤモンドを回った。

チェンジアップ攻めが続いていた。試合前の時点で同球種の打率は2割。速球に対しては同3割4分1厘で、マ軍バッテリーに弱点を徹底的に突かれた。第1打席は4球連続でタイミングを外されて左飛。第1打席から6球続いた末に、ようやく攻略した。打たれたフレクセンは打球を見上げてガックリした表情。第2打席でやり返した大谷についてマドン監督は「試合の中で修正している。非常に賢い」とたたえた。

修正力だけでなく、持ち味のパワーも光った。打球速度の97マイル(約156キロ)は、メジャーで放った通算55本塁打の中で最も遅い。長打となりやすい打球速度と角度の「バレルゾーン」も外れた。つまり速度97マイルと34度で上がった打球なら、フライアウトとなる可能性が高いが、それでもフェンスを越えた。理想的な打撃ではなくとも、今の大谷なら本塁打に出来る。マドン監督も「彼は非常に力強い」と改めて舌を巻いた。

メジャー4年目の開幕から1カ月。月間8本のアーチをかけた。Stats社によれば先発投手の月間8本塁打以上は、1918年から1921年にかけて4度マークしたベーブ・ルース以来。再び、伝説の二刀流に肩を並べた。今季は既に打球速度と飛距離でメジャー自己最速を更新し、持ち味のパワーがさらに進化を遂げている。この日は勝利に結びつかなかったが、大谷が打てばチームは活気づく。5月もパワー全開でいく。【斎藤庸裕】