【アナハイム(米カリフォルニア州)19日(日本時間20日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)の剛速球に異変が生じた。インディアンス戦で今季6度目の先発に臨み、投打のリアル二刀流として「2番投手」で出場。投手では4回2/3を5安打2失点で勝敗はつかなかった。直球の平均球速は91・3マイル(約147キロ)で、過去5度の平均より約8・5キロ下がった。打者ではバント安打を含む3打数1安打も、盗塁失敗で好機を逃した。ベーブ・ルース以来となる4戦連発&勝利投手はならなかった。

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本来の姿ではない大谷に、球場もどこか物静かな雰囲気に包まれた。球速表示は常時91~92マイル(約146キロ~148キロ)。「まっすぐはいかないなという感じでした。単純に体が動かなかった」と、思うように直球が走らなかった。過去5戦の平均球速96・6マイル(約155・5キロ)に比べ、約8・5キロ低下。故障の心配は「ないと思います」と話したが、18年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受けて以降、感じてきた体の重さについてこう明かした。

「それは一進一退というか、段階をおって、80~90マイルに上がる時もそうですし、90~95マイルに上がる時も、投げる強度が高くなれば張りが出てきたりとかっていうところはある」

前回登板のアストロズ戦では今季最長の7回を投げ、最速99マイル(約159キロ)をマークした。「去年そんなに試合で投げているわけではないですし、これからそういう張りも出てきたりすることもあるかもしれないので、その時に臨機応変に対応出来たら」。2試合、わずか1回2/3で計80球だった昨季に比べると、実戦での強度と体への負担は大幅に増している状況だ。

15年に同じ右肘の手術を受けたパドレスのダルビッシュは、球速低下の記事を引用しながら自身のツイッターを更新。「自分はトミー・ジョンのあと数年間、こういうことがよくありました」とつづった。手術経験者が通る道。直球が走らない大谷はこの日、試合を作ることに専念した。「無理やり(球速を)出しにいくという方法もあれば、打たせる方にシフトするというパターンもあるので。今日は後者の方だった」。

配球の40%を占めたカットボールを中心に5安打2失点にまとめたが、力強い腕の振りが見られず、迫力に欠けた。「メカニック(投球動作)的には問題なかったですし、よく対応できてた方だと思ってるので、単純にそういう日なのかなと思います」と、次回登板へ向けて前を向いた。