大谷に勝って、試合には負けた--。

ツインズ前田健太投手(33)が、今季最長となる7回を投げ、7安打3失点無四球6奪三振と奮投したものの、4敗目(4勝)を喫した。防御率は、4・63となった。

注目されたエンゼルス大谷翔平投手(27)とは、ドジャース時代の2019年7月23日以来の対戦。「楽しみ半分、しっかり抑えないといけない気持ち半分でした」。結果は、速球で空振り三振、スプリットチェンジで二ゴロ、スプリットチェンジで空振り三振。メジャー移籍後は、5打数2安打1本塁打2三振だったが、今季初対戦では、3打数無安打と完璧に封じた。

事前のデータで2年前と比較し、「打っている箇所と球種が増えている」と分析。「余計な球を使いたくなかった」と、宝刀スライダーを封印し、速球とチェンジアップで大谷の目線を変え、満足なスイングをさせなかった。試合後は「うまく翔平の読みを外せたんじゃないかと思います」と振り返った。

もっとも、2点を先制した直後の5回、下位打線に連打を許し、9番メイフィールドに逆転3ランを喫した。その後は、追加点を許さず、クオリティースタート(6回以上、自責3以内)をクリアしたものの、1点リードされた状態でマウンドを譲った。

試合前には、主砲クルーズのレイズ移籍が発表され、低迷するチームは来季以降への再建へかじを切ったことが明確になった。登板直前のミーティングでは、クルーズに感謝の気持ちを伝え、感傷的な気持ちのままマウンドに向かった。「寂しい気持ちが100%。ただ、シーズンは終わっていない。マウンドに上がれば、チームが勝てるような投球をするだけ。3ラン以外はいい内容だったので次につなげたいです」。黒星を喫しても、前田はうつむくことなく、ハッキリと言った。