エンゼルス大谷翔平投手(27)が、タイガース戦でリアル二刀流の「1番投手」で先発する。今季8勝目と40号アーチを目指す一戦。6回2失点で7勝目をマークした前回登板のブルージェイズ戦では、佐々木主浩氏(日刊スポーツ評論家)が投球フォームのテークバックが小さくなったことを指摘した。この日のタイガース戦ではいかに。投球フォームにも注目が集まる。佐々木氏の前回登板の評論は以下の通り。

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大谷の投球を見て、フォームの変化に目がとまった。じっくりと見るのは、7月6日(日本時間7日)のレッドソックス戦以来。力が抜け、バランスが良かったと評したが、テークバックの小ささに驚いた。「あれ?」と思って、春ごろの映像も見返したが、違いは明らかだった。

以前の投球フォームは後ろをしっかり取って、トップまで上がってきていたが、この日のブルージェイズ戦では右手を下まで落とさず、肘を曲げた状態から上がってきている。イメージ的には「1、2~の3」から、「1、2、3」のような感じに変化した。

なぜ、変えたのだろうか。私が想像したのは、体への負担がかからない投げ方にしたか、コントロールを重視したかの2点。先発投手が中4日以上の間隔を空けるのは体への負担が大きいからで、二刀流の大谷が省エネを考え、見つけた投法なのだろうか。

フォームを見て、頭によぎったのはパドレスのダルビッシュだった。小さいテークバックで、体をうまく使いながらボールを投げる。大谷が参考にしたかどうかはわからないが、腕の長さなど体も違うので、ダルビッシュと同じように投げるのは難しいだろう。

細かい部分を見れば、ストライクを取りに行くボールは制球できたが、力を入れた時はタイミングが合わず、150キロ後半の真っすぐは引っかけるシーンが目についた。大谷本来の豪快な投球ではなくても、変化球でうまくかわしながら6回2失点。1番で出場しながら、7勝目を挙げた。

やること全てが規格外で、かけ離れた選手。未知の領域を進み続ける彼にしかわからない世界があるだろう。フォームの変化にも、我々の想像を超えた理由があるかもしれない。次回以降の登板に注目する。(日刊スポーツ評論家)