メジャー2年目のパイレーツ筒香嘉智外野手(29)が26日(日本時間27日)、カージナルス戦に代打で出場し、豪快な4号2ランを放った。逆転に成功した7回、右中間席へ試合を決定づけるダメ押し弾を運んだ。日本人選手でシーズン代打3本塁打は初。パ軍移籍後、代打では4打数4安打3本塁打と、いよいよエンジンがかかってきた。

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黒バットを振り抜いた瞬間、筒香は両手に残る感触で確信していた。3-7と4点ビハインドを9-7とひっくり返した7回。なお無死二塁の場面で、救援左腕カブレラに対して、代打で起用された。外角へのカーブでカウント0-1とストライクを先行されても、どっしりとした構えにブレはない。2球目。甘く入った92マイル(約148キロ)の速球を完璧に捉えると、右中間へ消える軌道を見つめながら、ゆっくりとバットを手放した。

「ハマの大砲」と呼ばれたDeNA時代以来、じっくりと選球し、ひと振りで仕留めるのが、筒香の持ち味だった。だが、昨季のレイズ移籍後は、わずかにタイミングが合わず、打ち損じを繰り返した。メジャーレベルで、1度甘いコースをファウルにしてしまえば、同じような球はまず来ない。カウントを悪くした末、ボール気味の球で凡退する悪循環が、米移籍後の低迷につながった。だが、パ軍移籍後は、4本塁打中3本が第1スイング。代打で4打数4安打3本塁打と、驚異的な成績を残しているのも、本来の集中力が戻ってきた一端と言っていい。

筒香の2ランをはじめ、この回一挙8点を奪って逆転勝ちを収めたシェルトン監督は、試合後、興奮気味に言った。「彼はベテラン。メジャーではさほどプレー機会がなかったが、日本で成功を収めてきた。いかにハンドルするか、準備するかを知っている。何よりも、とても落ち着いているし、試合の状況をよく理解している」。プレーオフ争いから脱落したパ軍にとって、残り試合はチーム再建への過程。筒香にとっては、どこでプレーするか決まっていない来季の契約を勝ち取るアピールの機会でもある。「代打の切り札」に収まるつもりなどない。ひと振りごとに快音を残し、存在感が日増しに大きくなっている。