エンゼルス大谷翔平投手(27)が26日(日本時間27日)、米大リーグ機構(MLB)のマンフレッド・コミッショナーから特別表彰を受けた。二刀流で歴史的な偉業を達成した21年シーズンの活躍が認められ、「Commissioner's Historic Achievement Award(コミッショナー・ヒストリック・アチーブメント・アワード)」を受賞。日本人では04年に262安打でシーズン最多安打記録を塗り替え、05年に表彰されたイチロー以来16年ぶりで、2人目の快挙となった。

   ◇   ◇   ◇

スーツにネクタイを締め、髪形をばっちりセットした大谷が、MLBのトップから栄誉を受け取った。記念のトロフィーを手に、マンフレッド・コミッショナーと笑顔で写真撮影。ワールドシリーズ(WS)が行われたアストロズの本拠地ミニッツメイドパークで記者会見し「このような特別な賞を頂けて、すごく光栄に思ってます。応援してくださったファンの皆さん、そしてMLB機構の皆さん、エンゼルスの関係者の皆さん、全ての人に感謝しています。ありがとうございます」と心境を語った。

メジャー4年目で初めて、二刀流でシーズンを完走。オールスター戦では史上初となる投打で出場した。同コミッショナーは「最高峰のレベルで、投打でプレー出来る選手を見つけるというのは、ものすごいこと。2021年に、そういう人間がやってきた。それがショウヘイ・オオタニだった」と歴史的なパフォーマンスを称賛。その上で「ショウヘイのような国際的なスターの誕生は、野球の世界的普及を目指す我々にとっては、パーフェクトなタイミングだった」と強調した。野球のさらなる発展に対する貢献。結果だけではない功績も認められた。

実際に大谷への関心は日米以外でも急上昇した。MLB幹部によれば「台湾では大谷に関するフェイスブックの投稿が、それ以外の投稿と比べて900%高い。日本はもちろん、アジア全体で注目度が上がっている」という。19年にはヤンキース-レッドソックス戦を英ロンドンで開催したが、同コミッショナーは「力を入れてきた野球の国際化が、パンデミックに阻まれた」と明かした。コロナ禍で大打撃を受け、停滞していた野球の世界進出。再出発へ、大谷の活躍が光をともした。

98年から始まった同賞は16度目の表彰で、日本人ではイチロー以来の栄誉。大谷は「自分でいいのかなという思いもありますけど、本当にうれしく思ってます」と謙虚に話すと、同コミッショナーは「彼が(表彰に)値する」と満面の笑みを見せた。その後はWSを生観戦。球場の大型ビジョンに映し出され、手を振る大谷の姿は、世界的スターの雰囲気が漂っていた。【斎藤庸裕】

◆コミッショナー特別表彰 バド・セリグ前コミッショナーの発案で1998年に創設され、歴史的な偉業を達成した選手、チームに贈られる。ティファニー製のトロフィーは銀の円筒台座の上に金のボールが乗る。唯一のチーム表彰は01年マリナーズ。イチローが新人王とMVP、佐々木主浩投手(日刊スポーツ評論家)が守護神で活躍し、メジャー記録タイの公式戦116勝を挙げた。選手関係者以外では、14年のビン・スカリー氏はドジャース戦の実況を60年以上にわたって務めた名物アナウンサー。野茂、石井、黒田ら多くの日本選手も見続けた。大谷はマンフレッド・コミッショナーになって初の受賞者。