年末の風物詩「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が1日、都内で行われ、大リーグのエンゼルスでMVPの活躍を見せた大谷翔平投手(27)の偉業をたたえる「リアル二刀流/ショータイム」がトップ10の中から、「年間大賞」に選ばれた。打者で46本塁打100打点、投手で9勝の鮮烈な活躍で、MLBからの表彰ラッシュを受けた大谷イヤーを象徴する受賞となった。

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「リアル二刀流」は衝撃の幕開けで始まった。4月4日のホワイトソックス戦、大谷は「2番投手」でスターティングメンバーに名を連ねた。DH(指名打者)制のア・リーグであえてDHを解除し、投打で同時出場する「リアル二刀流」。その今シーズン初戦、強烈なインパクトを残した。

「最初にDHを解除した試合は思い出というか、大きかったなと思います。今シーズン最後まで戦い抜く上でも、皆が不安なく(プレー)するためには、重要な試合だった」

シーズン終了後、帰国後の記者会見で大谷はこう語った。リアル二刀流は機能するのか-。懐疑的な空気も漂っていた一戦だった。その第1打席、初球を完璧に捉えて右中間への先制ソロ。白球を砕くようなすさまじい打球音で度肝を抜いた。約137メートルの特大弾を放ち、投手では今季最速の101・1マイル(約162・7キロ)もマークした。DHを解除し、投打での起用に踏み切ったマドン監督は「あの試合の活躍で、すべての質問に回答した。皆が、彼は出来ると信じた」。大谷の能力と、奇策を繰り出す名将の調和が生んだ「リアル二刀流」でもあった。

初戦で一発回答のパフォーマンスを見せ、その後も投打での出場が続いた。シーズン23度の登板のうち、リアル二刀流は19度。打って、投げて、走って、フル回転の「ショータイム」は、シーズンを通してファンを沸かせた。史上初の投打で出場となったオールスター戦の前には、MLBが「It's Sho-Time」と題されたCMを制作するなど、メジャー1年目から定着していたニックネームが活躍の度に再燃。21年シーズンは、まさに「リアル二刀流」と「ショータイム」に染まった1年だった。【MLB担当=斎藤庸裕】