ツインズ前田健太投手(33)が、グラブで球種を見分けられる癖への、日米の対応の違いを説明した。7日、都内でブランドアンバサダーを務めるミズノの22年使用グラブ発表会に出席。「アメリカの方が癖がばれる。球場にカメラがいっぱいあって、録画して手元を1球1球ズームされて見られている」と明かした。このような状態にさらされることを前提として、グラブを注文している。

前田は日本でプロ入りに際し、グラブを作り直した。「今は少し大きめにつくっているのですが、プロに入った時はもう少し小さかった。コーチから『癖がバレるから大きめにしろ』と言われて少し大きくして、今の大きさにした」。形状にもこだわりがある。「ゴロを捕りやすいように丸みを帯びている。丸みがある方が癖が見分けづらい。今の形状は癖がばれにくいと思う」。捕球と打者からの視線を遮る役割を同時に果たす自信作だ。

前田に限らず日本人投手なら当然ではあるが、打者から球の握りが見えないように、親指と人さし指の間の網(ウェブ)に隙間はない。前田は今年、亀の甲羅をイメージしたものとした。

一方、メジャーリーグには、ウェブ部分が十字(クロスウェブ)になっていたり、握りが外から見えるものを使っている投手が散見される。前田は「最近少ないですが。みんな見えないように癖が出ないに心掛けている。あまり気にしていない選手もいるし、はっきり言って球種が1個しかない投手もいる。そういう投手は球種がばれづらいというのがあるかも」と分析。さらに「最近ちょっとずつ監督やコーチに言われて、メジャーに上がってからウェブを変える投手もいる。マイナーでは気にしないけど、メジャーに上がって癖がばれる経験をして変える投手もいる」と最新情勢を説明した。

昨季、米国人のDeNAマイケル・ピープルズ投手(30)は、網状のウェブを使用していた。44という米国メーカーのもの。打者から握りが見えることに対し「可能性はなくはないが、自分のスタイルは、握りを変えるのをできるだけ遅くしようとしている。そのタイミングで見られても問題はないという認識。そこまで強いこだわりがない」と話していた。投げる直前に握りを変えるため、グラブの中の握りを見られても構わないという考え方だ。

一方、前田は握り方にも細心の注意を払う。「グラブの中でできるだけ、手が映らないように。握りが難しいボールは、最初から握っている」。前田の持ち球で、最も難しい握りはチェンジアップ。「最初にチェンジアップを握って、後から変えるように意識している」。投球にあらゆる工夫を施して、変化球を操っている。

癖の映像分析1つをとっても、日本野球は細かく、メジャーリーグは豪快で大ざっぱというイメージは過去のものだ。だが、道具へのこだわりには、日本人らしい細やかさが息づいている。【斎藤直樹】