チャレンジャーの心得は、変化を楽しむ姿勢にあり-。レッズ秋山翔吾外野手(33)が、アベレージヒッターからパワーヒッターへの“大改革”に挑んでいる。静岡・下田で12日から9日間行った自主トレでは約10年間、手を加えていなかったバットの形状を変更。フォームも下半身の使い方を大きく変え、体重増にも着手した。思い切ったチャレンジには、エンゼルス大谷翔平投手(27)の姿にもヒントがあった。メジャー3年目。後がない男の心に潜入した。

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秋山の楽しみは、食にもあった。下田での自主トレには管理栄養士の岡本奈緒子さん(33)が同行。昼食と夕食、必要な場合の間食を担当した。下田の名産でもあるキンメダイなどの鮮魚や肉料理、卵料理でタンパク質を摂取しながら、ビタミンB群やC群の食材も使い、バランスの良い食事を提供。パワーアップを図り、体重は既に昨年のシーズン中から増えているが、今回の自主トレ期間中も微増。昨季開幕時の86キロから比べ、89キロまで増えた。

味より栄養を重視するアスリートもいるが、岡本さんは味にもこだわった。「いろんな人がいると思いますけど、楽しんでもらいたいなと。おいしく、楽しく食べられたら吸収もいいので。その場の雰囲気とか、『おいしそう~!』っていうリアクションがあると(練習への)意欲につながると思う」と、色とりどりの料理で食卓を飾った。「秋山選手も好き嫌いなく食べてくれていた」と明かし、中でもタラのアクアパッツァが好評だったという。

19年に独立する前までは、帝京大ラグビー部の栄養士として大学選手権9連覇に貢献した。「秋山選手とは年が同じで、刺激も受けてます。ありがたい機会です」。ともに自主トレを行った阪神板山らと囲んだ和気あいあいとした食卓も、秋山の挑戦の支えとなった。