【アーリントン(米テキサス州)18日(日本時間19日)=斎藤庸裕】新たな強敵ライバル現る。エンゼルス大谷翔平投手(27)が、レンジャーズ戦に「3番DH兼投手」で出場し、6回6安打2失点で勝敗はつかなかった。直球は今季の最速100・8マイル(約162キロ)をマークし、7三振を奪ったが、6番ハイムには3打数3安打2打点で完敗だった。今季は満塁弾を含む、5打数5安打7打点と打ち込まれ、突如現れた“大谷キラー”。今後も注目の名勝負となりそうだ。

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全力勝負を挑んだ大谷は、楽しそうだった。もちろん、延長戦で逆転サヨナラ負けを喫した悔しさはあるだろう。突如“大谷キラー”として立ちはだかったレンジャーズの6番ハイムの壁。ことごとく、打たれた。相性の悪さに、少し表情を緩めながら言った。

「いいバッターだと思いますし、ただ、いいところというか、投げるべき球を投げていると思うので、うーん、どっちに転んでも正直、いいゲームだったかなとは思いますね」

策は尽くした。初の満塁弾を浴びた4月14日以来の再戦。「前回打たれているので。投げるところ、気をつけるところはある」と、警戒する意識はあった。この日は直球の平均球速がメジャー移籍後では最速となる98・6マイル(約159キロ)。100・8マイル(約162キロ)も今季最速だった。「十分に睡眠もとれて、いい状態で入れた」。だが4回1死一、二塁、ハイムに100マイル(約161キロ)の内角直球を捉えられ、左前適時打を浴びた。100マイル以上を打たれたのは渡米後は2度目だった。

宝刀スプリットはわずか2球。「投げない方がよさそうというか、逆にそんなにリスクを負わなくていい。十分、直球とスライダーとカーブでいけるかなと」。球速差約15キロの2種類のカーブも「比較的良かったので、使っていける」と手応えがあった。だが、それもハイムに打たれた。6回1死二塁から左翼線へのポテンヒットとはいえ、同点適時二塁打を浴びた。

1打席目に中前打を許したスライダーを含め、直球、カーブ全てに対応された。昨季は6打数無安打も、今季は5打数5安打7打点で、ここまでは完敗だ。

自らが着実に進化を遂げる一方で、メジャーの強打者たちも黙ってはいない。「球自体は良かったけど思ったところにいかなかったり、真ん中付近の球も多かった」と課題を口にした。同じア・リーグ西地区でしのぎを削るレンジャーズ。次週、本拠地で再び対戦する可能性もある。ゾクゾクする戦いを求めていた大谷。次は負けない-。せめぎ合いが、さらに自分を成長させる。試合後はどこか、うれしそうな表情だった。

◆ヨナ・ハイム(Jonah Nathan Heim)1995年6月27日、ニューヨーク州バファロー生まれ。アマースト高から13年ドラフト4巡目でオリオールズ入団。16年レイズ、17年12月にアスレチックス移籍。20年メジャーデビュー。21年レンジャーズ移籍。今季23試合で打率3割、4本塁打、14打点。通算118試合で打率2割1分7厘、14本塁打、51打点。193センチ、99キロ。右投げ両打ち。家族はケンジー夫人と1男。

○…日米通算150号に王手をかけていたが、打撃では5打数無安打で見せ場はなかった。1点勝ち越した直後の延長10回無死一、二塁では空振り三振。追加点を奪えず、チームはその裏、逆転サヨナラ負けで3連敗を喫した。「必ずこういう時ってくると思うので、休みを挟んで、その次からどうするかが大事かなと思いますし、いつまでも負けたことを引きずってもしょうがないので切り替えて頑張りたい」と前を向いた。

○…チームは今季初のカード3連戦3連敗となった。9回にウォルシュの2ランで同点とし、延長戦10回に1点を勝ち越したが、守護神イグレシアスが登板2戦連続となる逆転サヨナラ弾を浴びた。球審への抗議から9回に退場処分となったマドン監督は「いいところもあったし、悪いところもあった。相手に勢いが出てきている。我々の地区(ア西地区)がタフな理由だ」と語った。順位は首位アストロズに1ゲーム差の2位をキープしている。

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