エンゼルス大谷翔平が、ベーブ・ルース以来の2桁勝利+2桁本塁打を達成した。投手大谷の強みは「日本人らしさ」にある。データ面から検証する。

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日本人投手の特徴とは何だろうか。一般的に配球、制球の良さ、器用さ、あたりが浮かぶだろう。大谷は直球の平均球速は97・2マイル(156・4キロ)で、今季1000球以上の投手ではメジャー5位。相当に速いのだが、直球に頼らないのが大谷の特徴だ。

渡米初年度に46%だった直球の割合は今季は33%で、スライダー(37%)以下に減った。ここまで奪った157三振のうち、直球が決め球だったのは16%(25個)に過ぎない。三振の83%はスライダーとスプリット、カーブで奪っている。また、MLBで主流のツーシーム(シンカー)やチェンジアップを投げず、スプリットが多い投球も日本的だ。ボールを微妙に動かしてゴロに打ち取るスタイルとは一線を画す。

制球力は年々改善している。与四球率は3・83→(手術明けの20年は43・20=1回2/3で参考値)→3・04→2・19。1年ごとに、劇的に良化。制球が改善すれば球速が落ちそうだが、逆に平均球速は、すべての球種で今季が最も高い。右肘手術から3年以上が経過し、しっかりと球を操れるようになっている。

器用さも日本流だ。来日する外国人投手が、最初に直面する問題はクイックモーション。大谷は今季の許盗塁がわずか3しかない。通算でも6だ。しっかりと癖対策を施し、クイックで投げることをいとわない大谷。球威や身体能力だけでない勤勉さや器用さが、2桁勝利に結び付いている。【斎藤直樹】