どこまでも広がるトウモロコシ畑の中に、「夢の球場」はある。映画の舞台となった「フィールド・オブ・ドリームス」で公式戦が開催される。

昨年からスタートし開催2度目の今年は、レッズと鈴木誠也外野手(27)が所属するカブスが1試合限定で対戦する。両軍とも復刻ユニホームでプレーする。レッズは1919年の縦じまデザイン、カブスは1929年にナ・リーグを制覇した当時のデザインとなっている。

この一戦はレッズのホーム扱いだが、会場はカブスの本拠地シカゴから西へ約330キロ。ミシシッピ川を越えるとアイオワ州の大穀倉地帯となり、真っ青な空と一面見渡す限りのトウモロコシ畑が続く。「聖地」ダイアーズビルに入ると突然景色が変わり、フィールド・オブ・ドリームスに到着する。

トウモロコシ畑を切り開いて特設された球場の収容人員は内野席のみの8000人。両翼は335フィート(約102メートル)、中堅400フィート(約122メートル)。古き良きイメージを醸し出すために、内外野のフェンスを木目のカラーに統一し、バックスクリーンや手動式スコアボードも木製というこだわりだ。外野は特設フェンスでトウモロコシ畑が見えるようになっており、球場周辺は見渡す限り緑一色になっている。

特設球場のモデルは、1910~1990年まで当時大リーグ最古の球場として使用された、カブスと同じシカゴを本拠地にするホワイトソックスの旧本拠地コミスキーパーク。同球場は映画内でも扱われている1919年ワールドシリーズの八百長事件、いわゆる「ブラックソックス事件」の舞台となった。

ケビン・コスナー主演の映画は1989年に公開された。主人公の農民レイ・キンセラが「それを作れば、彼はやって来る」という不思議な声を聞いて、収穫間近の畑をつぶし作った球場が「フィール・オブ・ドリームス」だ。

セレモニーでは、映画でシューレス・ジョー・ジャクソンら伝説の選手たちがフィールドにやって来る名シーンが、両軍選手によって再現される。昨年の記念式典では、ケビン・コスナーもサプライズで登場。満員の観客に「Is this heaven?(ここは天国か?)」の名セリフで語り掛け、盛り上げた。

試合は両チーム合わせて8本塁打がトウモロコシ畑に飛び込む空中戦となり、最後はホワイトソックスの1番ティム・アンダーソンが逆転サヨナラ2ランを放って決着。まさに映画のようなオープニングと劇的な幕切れとなった。また、全米中継され、2006年以降最多となる視聴者数590万人以上を記録した。