【サンディエゴ(米カリフォルニア州)7日(日本時間8日)=四竈衛】パドレスのダルビッシュ有投手(36)が、ダイヤモンドバックス戦でソロ3発を浴びながらも7回途中3失点と粘り、13勝目を挙げた。

白星への分岐点は4-3と1点リードで迎えた5回1死一、三塁のピンチだった。相手はダ軍屈指の両打ちの好打者、マルテ。ここまで打率4割9厘と苦手にしており、本来は「同点やむなし」の状況だった。だがダルビッシュの思考は、あくまでも無失点。しかも、併殺狙いだった。

左打席の俊足マルテ相手に、タイミングを崩してボテボテのゴロを打たせても「併殺崩れ」の間に失点する可能性が高い。そのため「速いゴロを打たせるにはスプリットが一番。真っすぐだと思って打ちに来て、そのボールの下を打つのがゴロを打つ時のパターン」。初球はスプリットで空振り。続けた143キロのスプリットでわずかにバットの芯を外し、狙い通り「一-遊-一」の併殺に仕留めた。意図的に、狙って強いゴロを打たせる紙一重の駆け引き。メジャー最高レベルだった。

8月下旬の「産休」後、気温30度前後の敵地2試合でそれぞれ100球以上を投げ、中4日で迎えたマウンド。それでも「疲れ気味だった」という状態でチームに白星をもたらした。「この時期は、勝つのが一番大事」。百戦錬磨のエースは、目の前の試合だけしか見ていない。