【アナハイム(米カリフォルニア州)1日(日本時間2日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、最高価値で1年契約を交わした。今オフに年俸調停の権利を得るが、シーズン終了間際に球団と3000万ドル(約43億5000万円)の1年契約で合意したことが発表された。今季の年俸550万ドル(約7億9750万円)から445%増で、日本人メジャー最高額。年俸調停の権利を持つ選手としても、20年シーズン前に2700万ドルで契約したベッツ(現ドジャース)を抜いて最高年俸となった。

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二刀流の大谷が年俸でも歴史に名を刻んだ。レンジャーズ戦の約5時間前に突如、球団から来季の契約内容が発表された。21年シーズン前に結んだ2年契約を終え、今オフに再び年俸調停権を得て交渉に入ることが予想されたが、シーズン終了を待たずに更改された。今季の年俸550万ドルから超大幅増の3000万ドル。続々と米メディアがツイッターなどで一報を伝え、“レコード契約”としてトップニュースとなった。

歴代の日本人メジャー選手で最高額。前年から破格の445%増となり、年俸面でも二刀流の価値が認められた。米メディアによれば、調停の権利を持つ選手で、これまでの増額最高は投手ではメッツのデグロムの960万ドルで、野手ではドジャース・ベッツ(当時レッドソックス)の950万ドルだった。2選手の増額合計1910万ドルに対し、大谷は2450万ドル。メジャーで投打の最高レベルの選手を2人足しても及ばないほどの大幅増となった。

もっとも、メジャー1年目から5年目までは格安契約だった。年俸調停の権利がない3年目まではメジャー最低年俸。二刀流で歴史的なシーズンを送った21年は300万ドルで、今季は550万ドルだった。故障のリスクも考慮されていたとみられるが、2年連続、投打で安定した結果を残した。球団から発表があったこの日、本拠地を訪れたCAAスポーツの代理人ネズ・バレロ氏は「彼にふさわしい」と冷静にコメントした。

球団は売却の方針を打ち出しており、来年オフのFA(フリーエージェント)前に長期契約を結ぶのか、他球団へトレードされるのか、去就が注目される状況に変わりはない。ただ、早々に来季の契約が決まり、ネビン監督代行は「彼にとっても、我々にとっても非常にいいことだ。関係する皆が、オフシーズンに気持ちよく向かっていける」と前向きに話した。今後、超大型契約が成立すれば、果たしてどれほど破格の契約になるのか。二刀流の未来は計り知れない。

◆年俸調停 メジャーの出場登録が3年以上6年未満の選手に球団と年俸調停を行うことができる権利が与えられる制度。3年未満の選手の年俸は通常、最低保障の金額付近となり、調停権取得後に年俸が引き上がる。年俸調停を避け球団と合意するケースが多いが、1月中旬の期限までに合意できない場合は調停委員会にかけられ、選手側と球団側の希望額のどちらが妥当か判断される。

○…大谷が今季のチームMVPに選ばれ、試合前に表彰された。2年連続、最優秀投手賞とダブル受賞。モレノ球団オーナーから記念のトロフィーを受け取り、ミナシアンGM、ネビン監督代行らと記念撮影を行った。試合では4打数1安打で16試合連続安打をマーク。好調をキープした一方で、74打席連続ノーアーチは19年シーズンの73打席連続を超え、最長ブランクの自己ワーストとなった。