【サンディエゴ(米カリフォルニア州)6日(日本時間7日)=四竈衛、斎藤庸裕】「大谷VSトラウト」実現へ-。WBC日本代表の栗山英樹監督(61)が同地で開催中のウインターミーティングの会場で会見を行い、エンゼルス大谷翔平投手(28)と米国代表主将マイク・トラウト外野手(31)の「同僚対決」に前向きな姿勢を示した。また、出場意思を表明したパドレスのダルビッシュ有投手(36)に対し、あらためてチームリーダーとして期待を込めた。

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単なるサービス精神だけではなかった。日の丸のピンバッジを胸に付けた栗山監督は、満面の笑みを浮かべて言った。決勝ラウンドに勝ち進み、米国と対決する場合、投手大谷とトラウトの対決が実現する可能性が浮上する。「そこは、監督を離れて、見たいですよね」。日本だけでなく、米国ファンも期待する「夢対決」に前向きな姿勢を隠そうとしなかった。

現時点では、大谷の起用法は定まっていない。ただ、ファンが望むだけでなく、大谷が米国の主砲を封じ込めればおのずと日本の勝機は高まる。「試合においては勝負にこだわりたい。打ち取れるヤツが勝負してほしいと思います」。

前日には、出場を決断したダルビッシュとすしをつまみながら今後のプランを話し合った。豊富な経験だけでなく、データ分析力もメジャー屈指。「もちろん、勝ち負けにはすごく大きいですし、彼の存在そのものとか、日本の若い選手は全員ダルビッシュから学びたいと思っている。僕自身もうれしいし、日本のファンの方も喜んでいると思います」。主将の肩書こそなくても、チームの支柱として期待を寄せた。

今回の渡米でチームの骨格は見え始めた。その一方で、日本中が熱狂したサッカーW杯の空気に、あらためて代表監督の重責を再認識した。「ニッポン頑張れみたいなのは全然なくて、見ながら気持ち悪くなった。吐きそうになって…」。一発勝負の短期決戦。並大抵の重圧ではない。だが、ひるむつもりはない。「人間がそこまで必死にやると、こんなにも人が感動する。スポーツの持つ力を感じました」。屈強なスーパースターが居並ぶ米国やドミニカ共和国などが相手となる王者奪回への戦い。「しっかり守って投手が頑張って。日本の特徴は我慢しながら競った試合を最後取っていく」。W杯からWBCへ。競技が違っても、侍の魂に変わりはない。